1-6 放射性物質の発熱に強い化学分離プロセスを開発

−MAの抽出クロマトグラフィー分離システム−

図1-13 安全に関する試験を行ったカラム

図1-13  安全に関する試験を行ったカラム

内径20cm,有効高さ65cmのカラムに熱源(電気ヒータ)と温度測定のための熱電対を備えます。

 

 

図1-14 カラム内温度の径方向分布

50℃に保ったカラムに上方から水を流し、電気ヒータからの熱を水に吸収して、カラムの下から外へと排出します。放射性物質の発熱も同様にカラム内に留まらせることなく、放出できます。

 

 

図1-15 工学規模試験装置の外観

図1-15 工学規模試験装置の外観

内径48cm,有効高さ65cmのカラムを備えます。吸着材の充てんと排出、異常時の対応方法などを確かめました。

使用済核燃料に含まれるネプツニウム(Np),アメリシウム(Am)やキュリウム(Cm)をプルトニウム(Pu)とともに燃料に加工すると、これらを燃焼でき、また、高レベル放射性廃棄物への移行を抑制することができます。このような観点から、核燃料再処理で発生する高放射性溶液からAmとCmを分離する目的のために、抽出クロマトグラフィー技術の開発に取り組んでいます。この技術では、吸着材を充てんしたカラムに高放射性溶液を流し、目的のイオンを吸着して分離します。高放射性溶液は発熱性の放射性同位体を含み、また、吸着材は有機化合物である抽出剤等を含むので、火災・爆発安全の観点から温度を制御しなければなりません。

候補としている数種の吸着材の熱的な安定性については、熱分解の挙動を分析し、安全に運転に用いられることを確認しました。また、使用する条件を想定して、硝酸溶液中でγ線を照射して吸着材を劣化させた場合にも問題とならないことが分かっています。

AmやCmが吸着材に捕捉されると、発熱源が固定されるので、熱が蓄積する可能性が高まります。図1-13に示す工学規模のカラム(内径20cm,有効高さ65cm)に模擬熱源(電気ヒータ)を設け、カラム内の温度分布を調べました。図1-14に示すように、カラム内の温度は径方向で一定であり、また、軸方向については、熱源から下流の温度上昇は3〜5℃に留まりました。これらのことから、運転を熱的に安全に行えることを明らかにしました。

この知見に基づき、遠隔操作が可能となるように考慮した工学規模試験装置(図1-15)を製作し、溶液を流すことができないというような不具合が発生した場合にあっても、異常な温度上昇を抑制するよう対応できることを確認しました。

抽出クロマトグラフィー技術の原子力への応用が、安全工学的な面について一歩実用に近づきました。

本研究は、文部科学省のエネルギー対策特別会計委託事業による委託業務として、原子力機構が実施した平成21年度「抽出クロマトグラフィ法によるMA回収技術の開発」の成果です。



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