8 原子力基礎工学研究

原子力研究開発の基盤形成と産学ニーズを踏まえた研究

図8-1 原子力基礎工学の四つの役割
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図8-1 原子力基礎工学の四つの役割

 

図8-2 MOX燃料溶解試験(90℃)における処理液の温度・組成変化及び放出Kr量の変化

図8-2 MOX燃料溶解試験(90℃)における処理液の温度・組成変化及び放出Kr量の変化

このデータが収載された「再処理プロセス・化学ハンドブック第2版」(JAEA-Review 2008-037)は、Webで公開されており、民間からも極めて多数のアクセスを得て活用されています。

原子力基礎工学研究部門では、我が国の原子力研究開発の基盤を形成し、新たな原子力利用技術を創出することを目指しています。原子力基礎工学に関する研究分野は多岐にわたり、その研究開発活動は図8-1のように四つの役割があります。これらの役割を果たすため、核工学・炉工学研究,燃料・材料工学研究,環境・放射線科学研究を進めています。また、原子力基礎工学研究部門と密接な連携のもとに運営されている原子力エネルギー基盤連携センターでは、原子力機構の保有する施設・設備を利用して産学との連携を強化し、社会のニーズを踏まえた研究開発を推進しています。

核工学・炉工学研究では、革新的原子力システムの創出とそれを導く最先端核物理・炉設計技術の開発を進めています。この分野では、原子核と中性子の反応確率(断面積)等の核データを測定したり、評価済み核データ集(JENDL-4.0)として構築する研究を行っています。また、先進的な原子炉体系での核反応に関する研究や、原子炉特有の伝熱現象に関する研究を行っています。さらに、高レベル放射性廃棄物の有害性を軽減するための分離変換技術についても研究を行っています。

燃料・材料工学研究では、革新的核燃料サイクル技術の基盤形成(図8-2)と原子力プラントの健全性・信頼性確保のための原子力材料に関する研究開発を進めています。この分野では、特に民間における再処理施設の運転に協力する取組みとして、高レベル放射性廃液のガラス固化に関する技術協力を原子力エネルギー基盤連携センターの枠組みの中で実施しています。

環境・放射線科学研究では、放射性物質の環境中移行挙動の研究や、最新科学に基づく放射線防護の確立を目指した研究を進めています。この分野では放射性物質である炭素14の環境中での挙動に関する研究が、地球温暖化に関連する土壌中の炭素の放出挙動に関する研究にまで発展したり、放射性廃液の処理技術を一般排水の浄化技術に応用するなど、身近なところでの成果も数多く得られています。