1-6 FBR格納容器の安全確保と建設期間の短縮を両立

−鋼板コンクリート構造格納容器の開発−

図1-16 SC構造概念図とSCCV概念図

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図1-16 SC構造概念図とSCCV概念図

2枚の鋼板間にコンクリートを充てんさせ、スタッド等で結合したSC構造に隔壁等で耐力補強して原子炉格納容器として使用します。

 

図1-17 面外曲げ試験体と測定結果

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図1-17 面外曲げ試験体と測定結果

SC構造の最大耐力を測定するため、破壊試験を行いました。隔壁によりコンクリートの変形が拘束でき、SC構造の補強ができることが分かりました。
*「単壁」1枚の結果を5枚分足し合わせたもの

 

図1-18 従来工法とSC構造を採用した際の工法との建設工期比較

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図1-18 従来工法とSC構造を採用した際の工法との建設工期比較

工場製作とSC構造の採用により、鉄筋・型枠等の現地作業の短縮化が図れ、建設工期が従来の工法よりも約20%短縮できます。

JSFRでは、原子炉格納容器に鋼板コンクリート(SC)構造を用いたSC造格納容器(SCCV)の採用を検討しています。SC構造は2枚の鋼板間にコンクリートを充てんさせ、スタッド等によって結合されています。更にSCCVでは耐力を増すために鋼板の間にはタイバーや隔壁といった補強を施し、原子炉容器などを格納します(図1-16)。

JSFRの格納容器については、ナトリウム漏えいを含む過酷事故を想定した場合、SC構造の内側鋼板は、高温にさらされることで強度が低下する等の影響を受けることが予想されます。したがって、万が一このような状況が起こったとしても、強度を維持し、放射性物質の拡散を防ぐSCCVを開発する必要があります。本研究開発では仮想的に高温ナトリウム(最大温度700 ℃程度)が格納容器に漏えいしたとして、高温下での使用部材の特性を把握する試験を行いました。

上記目的のために、SC構造の強度や破壊状況を、温度や破壊性状の違いをパラメータとして試験を実施しました。試験結果の一例として、鋼板に垂直荷重をかけてコンクリート部分を曲げ破壊させる面外曲げ試験と呼ばれる試験を実施し、SC構造の熱及び面外曲げ荷重に対する耐力・変形特性の把握を行いました。本試験においては 、最大耐力を測定するために破壊が起こるまで荷重をかけることとし、隔壁が1枚のもの(単壁)と5枚(連続壁)のものを用意して、それぞれ室温と高温加熱したもので比較を行いました。測定結果から高温にさらされた試験体であっても、室温と同等の耐力を保持していました。この際、鋼板にき裂などは生じませんでした。また、隔壁が1枚の時の耐力を5倍した耐力よりも隔壁が5枚ある連続壁の耐力の方が、最大耐力が大きくコンクリートの変形を拘束し補強できることが分かりました(図1-17)。

SC構造は従来の鉄筋コンクリートを用いた工法と違い、鋼製部分を工場で生産することが可能となります。そこでSCCVをある区画ごと(ユニット)製作して海上輸送することによって、現地での配筋や型枠作業が必要なくなります。この結果、従来工法と比較して現地施工の削減などにより約20%程度建設工期の短縮が見込めると試算しています(図1-18)。

今後も、耐力試験などを実施し、試験データを基に、より安全性の高いSCCVの実現に向けた研究開発を行っていきます。