図13-1 ウェットブラスト除染装置(手動タイプ)
図13-2 除染性能の一例(「ふげん」で使用された炭素鋼の例)
新型転換炉原型炉施設の廃止措置を進める原子炉廃止措置研究開発センター(「ふげん」)では、廃止措置完了までに発生する放射能レベルの極めて低い放射性廃棄物に対し、除染を講じることなどにより、クリアランス制度に基づき、クリアランス物として再利用又は産業廃棄物として処分していく計画です。
「ふげん」では、タービン施設などの解体撤去工事を実施中であり、この工事において発生した金属類の解体撤去物に対して、クリアランス制度を適用するための準備を進めています。クリアランスに当たっては、対象物に残留する放射性物質の濃度を基準値以下に低減する必要があることから、その汚染の状況などに応じて表面に付着する放射性物質を除去(除染)するための技術が必要となります。
このため、除染に伴って発生する粉塵を抑制しながら必要な除染性能を確保できる除染技術として、数気圧程度に加圧した水を数十〜数百ミクロンの研掃粒(ブラスト材)とともに除染対象物表面に噴射し、表面に固着した放射性物質を除去する「ウェットブラスト方式」の除染技術を選定して手動タイプの装置を設置し(図13 -1)、解体撤去物の除染に適用しています。
実除染作業に先立ち、除染性能の確認及び作業条件などの設定に資するため、「ふげん」の解体撤去物から採取した試料を用いて、本装置が所定の除染性能を有していることを確認するための試験を実施しました。
この結果、解体撤去物の錆・塗装が除去されて梨地の地肌となるとともに、炭素鋼,ステンレス鋼とも短時間で残留放射能をクリアランスレベル以下とすることが可能であり(図13 -2)、除染係数(除染前後の残留放射能の比)はいずれの材料に対しても目標とする100以上の性能が得られることを確認しました。また、除染作業後に二次的に発生する廃液は、フィルタにて、ろ過することにより、既設の液体廃棄物処理設備で処理することができ、専用の廃液処理装置などを設置する必要はありません。
本技術をタービン設備の解体撤去物に適用して除染を進めており、この作業を通して長期的な除染性能や二次廃棄物の発生量などに関する実績データを継続的に収集するとともに、装置の運用管理に係る知見を蓄積し、装置の大型化,自動化の検討などに反映していく計画です。