図1-7 放射線量等分布マップ 拡大サイト
図1-8 放射性物質の分布状況等調査データベース
表1-1 主なデータ種類
原子力機構は、東京電力福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質による環境影響の問題に対応し、その対策基盤を確立するための調査研究を行いました。その一環として、調査研究で得られた空間線量率や核種濃度等の情報を収集し、放射線量等分布マップ(分布マップ)及び放射性物質の分布状況等調査データベース(データベース)を構築しました。
分布マップ(図1-7)は、空間線量率や核種濃度を地図上に表示し、拡大・縮小することで直感的に環境放射能の状況を確認することができます。データベース(図1-8)は、各調査実施地点における空間線量率や核種濃度のほかに測定手法,分析手法及び測定精度等の付帯情報を加えた詳細な情報をWEB経由で閲覧・取得することができます。これらシステムに登録されている主なデータ種類について、表1-1に示します。
公開前には、サイトに対する高い関心が予想されたことから、負荷テストを実施しました。特に分布マップについては、地図と分布マップの重ね合わせ処理を行うサーバに負荷が係り、接続が切れる障害が発生することが、負荷テストによって判明しました。そこで事前に重ね合わせ処理を行う対策をとったところ、リクエスト失敗率20%から、わずか0.000001%に抑えることができました。実際の公開では、公開後10日間で30万人を超えるアクセスがあり、総リクエスト数は1億1千万を超えましたが、サイトは問題なく稼働しました。
放射性物質による環境影響を継続的に調査するため、2012年6月より新たに福島県内の約6500地点における空間線量率などの調査が開始されています。今後も警戒区域・計画的避難区域等の見直しや放射性物質による環境影響の把握,住民の健康管理,適切な除染対策等に必要な情報として、これらの測定結果を収集し、データベース・分布マップを介して引き続き公開していきます。
本研究は、文部科学省平成23年度科学技術戦略推進費による受託研究「放射性物質分布状況等に関する調査研究」及び文部科学省平成23年度放射能測定調査委託事業による受託研究「福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の第2次分布状況等に関する調査研究」の成果の一部です。