図2-2 EDFが注目したJSFRの革新技術
私たちは、高い安全性を実現する我が国のナトリウム冷却高速炉(JSFR)概念の国際標準化を進めています。このため、フランス電力(EDF)とSFRの開発に関する協力協定を締結し情報交換を行ってきました。この協力協定のもと、フランスの将来のSFR実用炉の建設・運転者であるEDFの観点から、私たちが開発を進めるJSFR技術の評価が行われました。
EDFは、JSFRの安全性向上に係る技術である、図2-2に示した自己作動型炉停止機構(SASS)及び内部ダクト付き燃料集合体(FAIDUS)について、信頼性の高い試験実績を有する技術であり、SFR実用炉安全性向上に係る有効な技術と評価しています。
SASSについては、フランスでも過去に同様の機能を持つ自己作動型制御棒を開発し、同国のSFR「フェニックス」及び「スーパーフェニックス」の補完的炉停止機構として採用しましたが、電磁石による制御棒保持力の低下が確認され、制御棒誤落下の可能性があることが問題となりました。JSFRで採用するSASSについては、フェニックスでの実績を活用するとともに、広範な試験を行い、適切な電磁石材料を選定しており、SASS構成部材の高温環境における劣化や腐食に対する耐久性,高温ナトリウム中での長期にわたる保持安定性,応答特性などを確認しています。また、我が国の実験炉「常陽」においてJSFR実用炉60年使用に相当する条件での炉内照射試験を実施し、保持安定性などの機能を実証し、その実用性を確認しています。こうした我が国におけるSASS開発実績や機能実証などを背景に、EDFは将来のフランスSFRへの採用に向けて技術情報交換を進めていきたいとしています。
FAIDUSについては、EDFは再臨界回避の有効な概念として評価しており、私たちが、カザフスタンの研究炉であるインパルス黒鉛炉(IGR)で実施している実燃料を使った炉内試験により、その実効性が確認できると評価しています。
またEDFは、図2-2に示すJSFRの原子炉容器コンパクト化やシステム簡素化のための技術について、今後の開発課題はあるものの物量削減の効果が高く、引き続き開発を進める意義があると評価しています。
以上のように、今後もEDFとの技術情報交換を進めるとともに安全性に関する相互理解を進め、将来SFRの安全性向上に活用していきます。