4-14 放射線管理区域における入域者のリアルタイム管理システムの開発

−放射線管理区域入域者の作業安全確保−

図4-31 リアルタイム多機能入域管理システム概念図

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図4-31 リアルタイム多機能入域管理システム概念図

原子力機構と日立アロカメディカル株式会社が共同取得した特許と同社所有の特許を使用して開発し、入退域管理と個人線量管理がリアルタイムに行えます。

原子炉建家等の放射線管理区域における作業者の入退域管理と個人線量管理は、放射線障害防止を含む作業全体の安全確保を行うために必要です。これらの管理の高度化は常に求められ、近年様々な最新技術を応用した製品が利用されています。

材料試験炉(JMTR)には、管理者が原子炉建家内に居る作業者の入退域管理,個人線量管理をリアルタイムに一括管理できるシステムはありませんでした。そのため、管理者による原子炉建家内の作業状況の把握は容易ではなく、それは現場に居る作業者についても同様で管理者及び作業者相互の情報共有の観点で作業者情報の把握が不十分でした。

この状況に対して日立アロカメディカル株式会社との共同研究により「リアルタイム多機能入域管理システム」(図4-31)を開発しました。本システムは、作業者が持つ携行品(位置検知タグ,姿勢検知機能付き無線式線量計)、携行品の情報を受信する無線機器及び情報を収集管理するサーバーから構成され、作業者の位置情報,時間情報,線量情報,姿勢情報をリアルタイムに収集,一括管理し、それらの情報が原子炉建家内外のパーソナルコンピュータ(PC)や原子炉建家内で使用するタブレットPCで閲覧できます。このことにより、管理者と作業者間,作業者相互間,更に原子炉建家内外で作業者情報を共有することが可能となりました。作業者情報(建家のどこに居るのか,入域してどのくらい経つのか,どのくらい被ばくしているのか,立っているのか,倒れているのか)はPC上で一覧表示されます。さらに、位置情報のマップ表示や線量情報のグラフ表示で視認性を向上させています。また、警報機能により時間情報,線量情報,姿勢情報に基づく安全管理ができます。特に工夫した点は線量計に姿勢検知機能を付与したことです。姿勢情報は、作業者の異常時における早期救出に活用でき、作業者が一人になった場合にも安全確保が期待できます。

このように、入退域管理,個人線量管理を一括管理し原子炉建家内外にいる管理者と作業者が簡単に作業状況を把握でき、リアルタイムに情報共有することでJMTR原子炉建家での安全管理が向上しました。また、本システムは、放射線管理区域を有する施設への適用以外に、例えば、福島での屋外除染作業でノートPCと無線LANアンテナを使用すれば、配線を必要とせずシステム構築が可能で除染作業者の作業安全管理にも活用が期待できます。