7-7 高速炉機器内部の熱流動解析技術の向上を目指して

−「もんじゅ」原子炉上部プレナム熱流動解析による温度分布評価−

図7-18 原子炉上部プレナム概要図

図7-18 原子炉上部プレナム概要図

上部プレナム内には炉心上部機構,ホールドダウンアームなどの構造物が取り付けられており、Naの流れが複雑です。本研究で比較対象とする温度分布は熱電対プラグの測定結果です。

 

図7-19 (a)垂直断面の温度分布解析結果 (b)熱電対プラグ位置における温度分布解析結果
拡大図(158KB)

図7-19 (a)垂直断面の温度分布解析結果 (b)熱電対プラグ位置における温度分布解析結果

(a)に示すように、炉心槽より下部では低温のNaが滞留しています。熱電対プラグ位置における温度分布を(b)で比較します。解析結果は多くの点で実機データの誤差範囲に収まっており、良い一致を示しました。

 


高速増殖炉では、ナトリウム(Na)の温度成層化現象等により温度分布が生じ、機器・配管などの構造物に熱応力が生じることがあります。したがって、構造設計において、温度分布がどの程度になるかを評価することは非常に重要です。しかしながら、原寸大の実プラント模擬体を製作して試験を行うことは膨大な費用,時間が必要であり、合理的ではありません。そこで、温度分布を正確に評価できる解析手法を開発することが必要です。高速増殖原型炉「もんじゅ」では、40%電気出力の定常運転等での温度分布データを取得しているため、これを活用して、温度分布を精度良く評価できる解析モデルについて研究を進めています。

「もんじゅ」の原子炉上部には、図7-18に示すような大容量の空間(上部プレナム)が設けられています。運転中、プレナム内には、温度分布を有することが測定より分かっています(図7-19(b))。また、プレナム内は様々な構造物(炉心上部機構ホールドダウンアームなど)が取り付けられているため、Naは複雑な流れとなります。本研究では、温度分布を精度良く評価するため、プレナムの三次元の解析モデルを構築し、40%定常運転状態の温度分布の計算と測定データとを比較することにより、解析モデルの妥当性を評価しています。定常状態であるため、解析モデルではプレナム内の内筒以外の構造物は形状のみモデル化を行い、熱容量は考慮しませんでした。また、原子炉は断熱材で保温されており、原子炉から雰囲気への熱移行量は小さいため、炉容器壁を断熱としました。入口境界条件は、集合体の出口温度及び流量です。実機データ及び解析結果を図7-19に示します。実機データの誤差範囲は、温度揺らぎと測定誤差2σの和です。解析結果から、炉心槽より下部で低温のNaが滞留していることが分かりました(図7-19(a))。また、熱電対プラグ位置での温度分布が、多くの測定点で誤差の範囲で一致しました(図7-19(b))。これらから、構築した解析モデルは、温度分布評価において妥当であることが分かりました。

今後は40%定常運転状態からのプラントトリップ解析を行い、過渡変化及び温度成層化現象を評価する予定です。