8-1 原子炉施設解体物へのクリアランス制度の適用に向けて

− 「ふげん」 タービン設備の放射能濃度評価手法の確立−

図8-4 「ふげん」タービン設備の放射能量評価方法
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図8-4 「ふげん」タービン設備の放射能量評価方法

タービン設備には、放射化汚染と二次的な汚染があることから、それぞれの汚染に応じた評価手順を構築し、放射能量を評価しました。

 

図8-5 「ふげん」タービン設備の放射能濃度評価手法の概念

図8-5 「ふげん」タービン設備の放射能濃度評価手法の概念

評価対象とした10核種について@〜Bの方法による放射能濃度の評価手法を構築しました。

 


「ふげん」では、施設の汚染レベルに応じた廃棄物の区分を適切に行い、放射性廃棄物の発生量を低減するとともに、解体工事を効率的かつ合理的に進めていく観点から、解体工事に伴い発生する解体物のうち、核種ごとに放射能濃度が法律に定められた基準値(クリアランスレベル)以下となるものにクリアランス制度を活用し、「放射性物質として扱う必要のないもの」として搬出することを計画しています。

現在解体中のタービン設備は、クリアランスレベル以下となる見通しであることから、クリアランス制度を活用するために必要となる評価対象核種の選定を行い、放射能濃度評価手法を確立しました。

評価対象核種を選定するために、放射化汚染二次的な汚染の放射能量を「ふげん」施設の特徴や汚染状況を考慮して評価しました。

放射化汚染は、ORIGEN-79等の汎用計算コードを用いて、タービン設備近傍の中性子束分布の測定結果から主蒸気中にわずかに存在するN-17のβ崩壊に伴う中性子による放射化の評価体系を構築し、放射能量を評価しました(図8-4(a))。

二次的な汚染は、放射性腐食生成物(CP)核分裂生成物(FP)を起源とし、これらCP及びFPの生成やタービン設備への移行挙動を考慮した評価体系を構築し、放射能量を評価しました(図8-4(b))。

これらの放射化汚染と二次的な汚染の放射能量のクリアランスレベルに対する寄与割合に基づき、評価上重要となる10核種を選定しました。

次に、クリアランス制度を活用して「放射性物質として扱う必要のないもの」を施設外に搬出する際には、評価対象核種の放射能濃度がクリアランスレベル以下となることを、合理的かつ確実に測定及び評価する放射能濃度評価手法を構築する必要があります。

汚染状況の調査等を勘案した結果、@「ふげん」の汚染の支配的な核種であるCo-60はクリアランスモニタによる直接測定,AMn-54はCo-60との相関関係が確認できたことからCo-60との核種組成比を用いた方法,Bその他の核種は原子炉以外での放射能レベルが低く、タービン設備からは有意な分析データを取得し難い状況であることを勘案し、検出値に検出限界値も含めた平均放射能濃度を用いた方法をそれぞれ適用しました。これらの結果、タービン設備における放射能濃度の適切な評価手法を構築できました(図8-5)。

ここで構築した放射能濃度評価手法の成果を反映し、原子炉施設の解体物へのクリアランス制度の適用を開始する予定です。