図7-2 安全基準の階層における安全設計クライテリア(SDC)と安全設計ガイドライン(SDG)の位置付け
図7-3 新しい安全設計ガイドライン(SDG)の具体化プロセス
第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF)では、次世代のナトリウム冷却高速炉(SFR)の国際標準となる「安全設計クライテリア(SDC)」の整備を2010年から開始し、2013年5月にGIFでの承認を経て、現在は国際原子力機関(IAEA)及びSFR開発国の規制機関によるレビューの反映が進められています。さらに、SDCを実際の設計に適用する際の手引きとなる「安全設計ガイドライン(SDG)」は2013年に構築を開始し、今般、IAEAによるレビューが開始されました。SDCとSDGの構築では、私たちが次世代SFR向けに開発してきた各種の安全関連技術が反映されています。標準化により、原子力機構の安全技術が一般性を持ち、国際的にリードしていることが示されたと考えています。
安全基準の階層におけるSDCとSDGの位置づけを示したのが図7-2です。上位の安全原則と規格・基準類の中間に位置し、“安全の基本概念を実現するためには、規格・基準に基づき製造されるシステムや機器類を、どのような考え方で設計すれば良いか”を体系的に包括的に定めるものがSDCです。また、SDCを各国が実際の設計に適用するために必要となってくる事項、例えば“事故の発生を防止したり、万が一事故が起きたときにその影響を緩和する様々なシステムや機器の機能や、原子炉がどのような状態になったときに機能しなければならないか”をシステムや機器類別に具体的に定めるものがSDGです。SFRを始め、第4世代炉を対象とした国際標準の安全基準はこれまでなく、SDCとSDGは初めてのものとなります。
SDCを踏まえて構築されるSDGは、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえて、従来の設計基準事故を超える状態でも安全を確保するシステムや機器類の具体化を含んでおり、これらの関係とSDG具体化のプロセスを表したのが図7-3です。特に、安全上重要となる炉心反応度に関連した事故への対応と崩壊熱除去に関連した事故への対応については、原子炉全般にかかわることから具体的な対策を包括的にまとめて安全アプローチSDGとしました。さらに、系統別に見たときのシステム及び機器類の仕組みや機構に踏み込んで詳細化を行うものが系統別SDGです。現在、安全アプローチSDGはGIFでの承認を経て、国際機関によるレビューが開始されました。今後は系統別SDG案を、我が国発の“より高い安全性を実現するコンセプトの具体化”として、GIFという国際協力の場において国際標準化を図ることになります。