1-1 事故時の燃料集合体の溶融移行挙動を評価する

−模擬燃料集合体のプラズマ加熱試験−

図1-2 プラズマ加熱試験の試験体と加熱後の結果例  実機における制御棒ブレード1枚とその周辺を模擬した試験体を上部から加熱し、炉心物質の溶融移行挙動を調べています。

図1-2 プラズマ加熱試験の試験体と加熱後の結果例

実機における制御棒ブレード1枚とその周辺を模擬した試験体を上部から加熱し、炉心物質の溶融移行挙動を調べています。

 

図1-3 プラズマ加熱試験装置

図1-3 プラズマ加熱試験装置

BWR炉心と支持構造の一部を模擬した高さ約1 mの試験体は試験容器の中央にセットされ、上部から非移行型のプラズマトーチで加熱されます。

 


原子力機構では、2011年に発生した東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故時の事故進展や炉内状況の推定に役立てるため、事故時の燃料集合体の溶融移行挙動を調査するための研究開発を進めています。

1Fのような沸騰水型原子炉(BWR)では、炭化ホウ素とステンレス鋼から成る十字型の制御棒ブレードが4体の燃料集合体間に配置されており(図1-2)、この制御棒が炭化ホウ素とステンレス鋼の共晶反応等により約1200 ℃から溶融移行を開始するため、制御棒溶融移行後のスペースに崩壊した燃料が落下し、燃料集合体の支持構造部に到達する可能性があります。このような現象はBWR特有のものであり、本研究では実機と同じ材料から成る制御棒と模擬物質から成る燃料集合体を使用したプラズマ加熱試験により、溶融物移行挙動、模擬集合体の崩落挙動及び支持構造部の損傷挙動を調査しています。

BWR体系における制御棒や燃料集合体の溶融移行及び崩落挙動を調査するため、図1-3のような非移行型プラズマトーチによる模擬燃料集合体の加熱試験を実施しています。本試験では、燃料模擬物質として高融点のジルコニアペレットを使用し、制御棒は実機と同じ炭化ホウ素ーステンレンス製で平板形状のものを使用しています。試験体は燃料集合体下部の約50 cmと下部支持構造部を模擬しており、BWR事故時の燃料集合体下部で予想される2000 K/m程度の非常に大きい温度勾配を模擬するため、上部からプラズマトーチで加熱しています。

プラズマ加熱後の試験体(2015年度実施)では図1-2のように、上部では制御棒が溶融落下するものの燃料ロッドは残留し、下部のX線CT断面像からは溶融物が燃料ロッド間やチャネルボックスと制御棒ブレードの隙間に移行していることが分かります。加熱後の試験体はホウ素を含むジルコニアセラミックスが主成分であり、非常に硬いため、切断手法はウォータージェット等を利用しています。現在、X線分析、化学分析等により溶融物の元素分布の調査を実施中です。

模擬燃料集合体のプラズマ加熱試験は、国際廃炉研究開発機構の組合員として廃炉・汚染水対策事業の一部として実施中であり、得られたデータはBWR炉心物質が溶融移行する過程での炉心の水蒸気透過性や炉心物質移行挙動の評価に利用され、シビアアクシデント解析コードによる事故進展解析等に反映予定です。