図1-1 福島県内における主要な研究開発拠点
東京電力福島第一原子力発電所(1F)の事故以降、原子力機構は我が国で唯一の原子力に関する総合的な研究開発機関として、総力を結集して廃止措置及び環境回復に係る研究開発に取り組んでいます(図1-1)。
廃止措置に関しては、1Fの廃止措置等に向けて政府が定めた中長期ロードマップ等を踏まえ、事故進展シナリオの解明(トピックス1-1、1-2、1-3)、燃料デブリの取出し(トピックス1-4、1-5)、放射性廃棄物の処理・処分(トピックス1-6、1-7、1-8、1-9、1-10)、遠隔操作技術(トピックス1-11)に係る研究開発を進め、1Fの廃止措置の加速化に向けて着実に成果を発信していきます。また、環境回復の取組みで開発した放射線モニタリング技術を1Fの汚染水監視のために改良・導入する等(トピックス1-12)、オフサイトとオンサイトとでシナジー効果を発揮し、研究開発成果の最大化を目指します。
2017年3月には、福島県富岡町に廃炉国際共同研究センター国際共同研究棟が竣工しました(図1-1右中央)。今後は、この施設を中核に世界中の英知を結集して、廃止措置に向けた研究開発と人材育成を一体的に進めていきます。
楢葉遠隔技術開発センターでは、国際廃炉研究開発機構(IRID)による止水実規模実証試験等が実施されています(図1-1右下)。また、1Fから発生する燃料デブリや様々な放射性廃棄物の分析・研究を行うため、大熊分析・研究センター(施設管理棟、第1棟、第2棟)の整備を進めています(図1-1右上)。
環境回復に関しては、福島県環境創造センターが策定した中長期取組方針等に基づいて、住民の方々が安全で安心な生活を取り戻すため、住民の方々の被ばく線量(トピックス1-13)、森林や河川等における放射性物質の移行挙動(トピックス1-14、1-15、1-16、1-17)等に係る研究を進めています。また、放射性セシウムの吸脱着メカニズム解明(トピックス1-18、1-19)や鉱物を使った放射性セシウムのしいたけへの移行低減(トピックス1-20)等に係る基礎的な研究も実施しています。
2016年7月には、福島県三春町に研究拠点となる福島県環境創造センターがグランドオープンしました(図1-1左上)。ここでは、原子力機構、福島県、国立環境研究所の三者が協働で、環境放射能モニタリングデータの解析評価等、ふくしまの環境回復に向けた課題に対する調査研究に継続して取り組んでいきます。