図7-2 地震時における炉心構成要素の挙動
図7-3 炉心耐震試験概念図
図7-4 振動試験と検証解析結果の比較(流水中)
ナトリウム冷却型高速炉では、炉心燃料集合体は下部支持板に差し込まれる形で自立しています。そのため、地震時には炉心燃料集合体がお互いにぶつかり合う水平方向の変位と跳び上がる方向の鉛直方向変位を同時に考慮する必要が生じます。さらに、近年想定される地震動が大きくなってきていることにより、炉心燃料集合体の大きな跳び上がりについて評価をする必要が出てきました。特に強地震時においては、炉心燃料集合体の跳び上がり高さが、接触パッド部の幅を超えると、パッドが外れ挙動が大きく変わることを考慮する必要があります(図7-2)。
本研究では、地震時の炉心燃料集合体の三次元的な挙動(上下+水平)を把握するために、新たな炉心耐震解析コードの開発を行いました。そのために、図7-3で示すような縮尺模擬炉心燃料試験体を用いた群体系振動試験を実施し、炉心燃料集合体の三次元振動挙動(上下+水平)の特徴を確認しました。この試験装置は、空気中のほか、水中(静水及び流水)の試験ができる体系となっています。特に、強加振条件における上下変位に起因したパッド外れに着目した上下・水平連成挙動を取得しました。その結果、隣接する模擬炉心燃料集合体の上下相対変位が、パッド高さを超えた時間帯で、パッド外れにより水平変位が増大することが振動試験により確認されました(図7-4(a))。さらに、新たに開発を実施している炉心耐震解析コードによる本試験の検証解析を実施した結果、試験結果を再現できることを確認しました(図7-4(b))。
上記の結果から、開発中の炉心耐震解析コードにより地震時の炉心燃料集合体の挙動が、強地震時のパッド外れを考慮しても解析評価できることが分かりました。
本研究は、経済産業省資源エネルギー庁からの受託事業「高速炉の国際協力等に関する技術開発」の成果の一部です。