はじめに

児玉理事長

 

はじめに

 

平素より、日本原子力研究開発機構(原子力機構)の研究開発につきまして、多大なご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。

原子力機構の使命は、我が国唯一の総合的な原子力研究開発機関として、原子力科学技術を通じて、人類社会の福祉と繁栄に貢献することです。その実現に向け、原子力機構は、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所事故への対応、原子力の安全性向上研究、核燃料サイクルの研究開発、放射性廃棄物の処理・処分技術開発や原子力の基礎基盤研究に取り組んでいます。

福島第一原子力発電所事故への対応に関しては、廃止措置等に向けた中長期ロードマップを踏まえ、燃料デブリの分析に向けた準備、帰還困難区域の避難指示解除に向けた環境放射線モニタリングなどの廃止措置と環境回復に向けた研究開発や、原子力規制庁と連携した事故調査による安全性の向上を図るための活動に取り組んでいます。また、バックエンドロードマップ及び施設中長期計画に基づき、もんじゅ、ふげん、東海再処理施設等の廃止措置や、バックエンド対策を安全かつ着実に進めてまいります。さらに、高速炉・新型炉の研究開発や、新たな原子力利用の創出を目指した基礎基盤研究のほか、試験研究炉の運転再開に向けた対応を進めるとともに、今後、JRR-3の運転再開に合わせ、原子力機構でしか持ち得ない大型施設に一般機器を加えた供用プラットフォームを運用し、イノベーション創出に向けた産学官との連携・協働を進めてまいります。

原子力機構は、将来にわたって社会に貢献し続けるために、2050年に向けて、何を目指し、そのために何をすべきかという将来像を、将来ビジョン「JAEA 2050 +」として2019年10月に公表しました。原子力分野とともに、原子力以外の分野との融合を進め、「気候変動問題の解決」「エネルギーの安定確保」「未来社会(Society 5.0)の実現」に貢献する “新原子力” の実現を目指していくこととしており、産学官との連携、共同研究等の推進に、より一層取り組んでいるところです。

本誌では、原子力機構が日々取り組んでいる研究開発で得られた最新の成果をご紹介いたします。本誌が、原子力機構の研究開発に対する理解の一助となれば幸いです。

引き続き、ご支援、ご指導を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 

 

2020年10月

国立研究開発法人

日本原子力研究開発機構

理事長

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