原子力機構の研究開発体制と本誌の構成について | ||
1 | 福島第一原子力発電所事故の対処に係る研究開発 | |
英知を結集し、1Fの廃止措置と福島の環境回復に役立つ研究成果を創出する | ||
1-1 | 水中における燃料デブリからのウランの溶出を評価 −コンクリート成分の影響を考慮した溶出速度評価と、使用済燃料との比較− 仲吉 彬 | |
1-2 | 臨界評価に必要な燃料デブリ中の成分分布を調べる −溶融模擬燃料デブリを用いた凝固時の Gdと Feの偏析− 須藤 彩子 | |
1-3 | マイクロ波によりプラズマ発光強度を 50倍に増倍 −レーザー誘起ブレークダウン分光分析技術を用いた燃料デブリの遠隔分析技術の高度化− 大場 正規 | |
1-4 | ロボット試験用水槽の昇温挙動を明らかにする −利用者ニーズに応じた施設利用のための実験と解析− 荒川 了紀 | |
1-5 | 調査画像から炉内構造物の立体モデルの構築を目指す −廃止措置の遠隔操作支援に向けた映像解析技術の開発− 羽成 敏秀 | |
1-6 | 重大事故時に構造材に吸着したセシウム特性を探る −理論計算によるセシウム化合物の熱力学特性の予測と検証− 鈴木 知史 | |
1-7 | ジオポリマーのガンマ線照射による水素放出 −水で飽和した大型試料における水素放出抑制− 山岸 功 | |
1-8 | 福島第一原子力発電所 1〜3号機における事故進展を探る −国際ベンチマーク解析から得られた知見− 玉置 等史 | |
1-9 | 渓流魚中のセシウム濃度変化の原因を探る −森林から渓流魚に至る異なる三つの経路− 操上 広志 | |
1-10 | 動植物に含まれるトリチウムの分析を早く簡単に −海産物中の有機結合型トリチウム(OBT)迅速分析手法の開発− 藤原 健壮 | |
1-11 | 除染した後の線量率はどう変化するか −長期モニタリングデータから明らかとなった土地利用形態の影響− 中間 茂雄 | |
1-12 | 河川中での放射性セシウムの挙動解明のために −顕微鏡で見えた川底の鉱物種と放射性セシウムの関係− 萩原 大樹 | |
1-13 | 分子シミュレーションでキノコの放射能濃縮の謎を探る −キノコ色素ノルバジオン Aのセシウム結合選択性の評価− 数納 広哉 | |
1-14 | 福島第一原子力発電所から沿岸へ流出した放射性セシウム量を推定 −1F事故から 9年間で流出量はおおよそ 10万分の1に減少− 山田 進 | |
1-15 | 放射性物質の大気放出と拡散状況を計算で再現する −拡散計算の最適化手法の高度化により事故初期の正確な被ばく評価に貢献− 寺田 宏明 | |
1-16 | 福島第一原子力発電所事故直後の線量率を再評価 −ヨーロッパと福島県における空間線量率の減少傾向と放射性核種動態の比較− 吉村 和也 | |
1-17 | 放射線量とセシウム濃度の減り方の違いから見えること −1F事故後 5年間の空間線量率及び土壌沈着量の経時変化− 三上 智 | |
1-18 | 日常生活における住民の外部被ばく線量を予測する −現地での線量調査に基づく被ばく線量評価モデルの開発− 高原 省五 | |
2 | 安全研究・防災支援 | |
原子力安全と防災の継続的改善に向けて | ||
2-1 | 非常に薄い液膜の厚さを測定する −液膜ドライアウト挙動を評価するための技術開発− 和田 裕貴 | |
2-2 | 反応度事故時の安全評価の信頼性向上を目指して −二軸応力下における燃料被覆管の機械特性評価− 三原 武 | |
2-3 | 亀裂先端における応力が酸化に及ぼす影響を調べる −ステンレス鋼の環境助長割れメカニズムの解明に向けて− 端 邦樹 | |
2-4 | 巨大地震後の余震に備える −大規模余震を考慮したリスク評価手法の提案− 崔 炳賢 | |
2-5 | 有機溶媒火災時の HEPAフィルタの目詰まりメカニズムを解明 −再処理施設の重大事故評価手法を整備− 大野 卓也 | |
2-6 | 空から放射線量の分布を迅速・広範囲に測る −緊急時における航空機モニタリング活用のための情報整備・技術開発− 普天間 章 | |
3 | 先端原子力科学研究 | |
未来を拓く先端原子力科学研究 | ||
3-1 | 核分裂片の巨大双極子振動を観測 −核分裂過程の解明に期待− 牧井 宏之 | |
3-2 | 錯体の凝集現象を防ぐことで抽出効率を劇的に向上 −フッ素原子の強力な疎水性を利用した溶媒抽出法の開発− 上田 祐生 | |
3-3 | ウランがもたらす超伝導の新しい物理 −スピン三重項超伝導のメカニズムの探求− 徳永 陽 | |
3-4 | 高速回転を用いて磁石の隠された特異点を発掘 −磁気デバイス高速化の鍵“角運動量補償”の測定装置を開発− 今井 正樹 | |
3-5 | 電子を注入した酸化物材料に現れる「動きにくい電子」の正体とは? −素粒子ミュオンで解き明かす酸化物材料 SrTiO3中の余剰電子の性質− 伊藤 孝 | |
3-6 | 反応で明らかにする原子核の特異な形状 −クラスター構造の発現と成立度− 吉田 数貴 | |
4 | 原子力基礎工学研究 | |
原子力科学の共通基盤技術を維持・強化して原子力利用技術を創出 | ||
4-1 | 核反応データベースの開発を通じた国際貢献 −光核反応の利用を支える信頼性の高いデータベースの完成− 岩本 信之 | |
4-2 | LLFPの低減化システム評価のための核データ開発 −最新の原子核理論で長寿命核分裂生成物(LLFP)の核反応断面積を予測する− 湊 太志 | |
4-3 | 気液界面における低合金鋼の腐食加速現象 −鉄錆層の構造解析から腐食加速機構を解明する− 大谷 恭平 | |
4-4 | 歯を用いた低線量外部被ばく推定法の開発 −遠心分離法による妨害因子の除去− 岡 壽崇 | |
4-5 | 異分野連携で太陽放射線の動きをリアルタイムに追跡 −太陽放射線被ばく警報システム(WASAVIES)の開発に成功− 佐藤 達彦 | |
4-6 | 焼却可能な試薬を使った MA抽出分離プロセスの構築 −αγセルでのマイナーアクチノイド(MA)と希土類元素の一括回収試験− 伴 康俊 | |
4-7 | 加速器駆動システムの核設計精度を検証する −プルトニウム燃料を用いた臨界実験− 大泉 昭人 | |
4-8 | 加速器駆動システム用ビーム窓の開発 −国際プロジェクトによるビーム窓材の照射後試験− 斎藤 滋 | |
5 | 中性子及び放射光利用研究等 | |
幅広い科学技術・学術分野における革新的成果の創出を目指して | ||
5-1 | 大強度陽子加速器のさらなる高度化に向けて −新しいビーム設計手法による高周波四重極リニアックの開発− 近藤 恭弘 | |
5-2 | 地下深くの圧力が変える鉱物中の水素結合 −中性子回折実験により高圧下での水素結合対称化を初めて直接観測− 佐野 亜沙美 | |
5-3 | 内壁の改良と速い流れで水銀標的容器損傷を抑制 −二重壁構造の採用で高出力核破砕標的を実現− 直江 崇 | |
5-4 | ものづくり現場で中性子線を使った材料分析が可能に −小型加速器中性子源を利用して鉄鋼材料の集合組織測定に成功− 徐 平光 | |
5-5 | 蛋白質の機能発現に必要な構造揺らぎの解明 −中性子で蛋白質の構造と動態を見る− 中川 洋 | |
5-6 | イオン液体/電極界面の構造解析 −量子ビームを利用して界面の構造を精密に解析する− 田村 和久 | |
5-7 | 省電力次世代記憶素子材料の開発に向けて −アルミ酸化膜を用いた新しい不揮発メモリの電子状態の観測に成功− 久保田 正人 | |
5-8 | 新奇な超伝導状態を示すウラン化合物の電子を捉えた −UTe2の電子状態を世界に先駆けて観測− 藤森 伸一 | |
6 | 高温ガス炉水素・熱利用研究 | |
高温ガス炉とこれによる水素製造・熱利用技術の研究開発 | ||
6-1 | 代表不純物を利用した全炉心燃焼特性評価法の開発 −安価な黒鉛材料利用により高温ガス炉の燃料コスト削減に貢献− 沖田 将一朗 | |
6-2 | 高温ガス炉燃料の燃焼度を 3倍高めることに成功 −国際協力を活用した高燃焼度高温ガス炉燃料の開発− 佐々木 孔英 | |
6-3 | 再生可能エネルギーとの共存に向けて −再エネ発電量変動を補完できる高温ガス炉概念の提案− 佐藤 博之 | |
6-4 | IS法水素製造の硫酸環境耐食機器の実用化に向けて −セラミックス機器の強度評価法を開発− 竹上 弘彰 | |
6-5 | IS法で用いる耐食部材の金属材料化を目指して −二酸化硫黄(SO2)漏れの発生しない腐食試験装置の開発− 広田 憲亮 | |
6-6 | IS法による安定した連続水素製造に向けて −高濃度ヨウ素を含むヨウ化水素酸溶液移送ポンプ軸封システムを開発− 野口 弘喜 | |
6-7 | 排気筒倒壊時の原子炉建家への影響を明らかにする −三次元実形状モデルの衝突解析により健全性を確認− 小野 正人 | |
7 | 高速炉研究開発 | |
高速炉サイクルの研究開発基盤の整備 | ||
7-1 | 炉心上部機構の国内製作技術確立に向けて −炉心上部機構内の計装配管配置検討及びモックアップによる製作性確認− 高野 和也 | |
7-2 | 自然対流により炉心の崩壊熱を確実に除去 −浸漬型直接炉内冷却器による炉心冷却試験と冷却性能予測技術の開発− 江連 俊樹 | |
7-3 | 高速炉の炉心燃料集合体の解析評価手法の構築 −内部ダクトを有する燃料集合体(FAIDUS)内の熱流動挙動を予測− 菊地 紀宏 | |
7-4 | 超高温条件に耐える燃料被覆管の開発を目指して −酸化物分散強化型鋼被覆管の 1000 ℃での強度評価− 矢野 康英 | |
7-5 | 燃焼するナトリウムミストで水素が着火する仕組みを探る −過酷事故で生じた漏えいナトリウムのミストとともに噴き出た水素の着火過程を可視化− 土井 大輔 | |
8 | バックエンド対策及び再処理技術に係る研究開発 | |
バックエンド対策及び再処理技術に係る研究開発 | ||
8-1 | 原子力施設解体費用見積りコードの一般利用に向けて −費用見積りコードの利用マニュアル整備− 高橋 信雄 | |
8-2 | 合理的な処分に向けた放射性廃棄物確認方法の構築 −照射後試験施設の廃棄物に対する評価方法の検討− 水飼 秋菜 | |
8-3 | 複雑な低線量放射線の生体影響にせまる −機械学習を用いた多次元データの特徴抽出− 神ア 訓枝 | |
8-4 | 安全な放射性廃液の処理技術の確立 −様々な化学種を含む廃液の処理を目指す STRADプロジェクト− 渡部 創、粟飯原 はるか | |
8-5 | 地上から地下深部の亀裂のつながりを評価 −単孔ボーリング調査手法の構築− 石井 英一 | |
8-6 | 処分場閉鎖後の坑道周辺の岩盤状態変化を探る −坑道埋め戻しに伴う岩盤の透水性の経時変化− 宮良 信勝 | |
8-7 | 岩石の化学組成から最近の断層運動の痕跡を識別 −断層運動に起因する元素の移動のしくみを解明− 丹羽 正和 | |
8-8 | 地下深部を流れる地下水の長期的な変化を可視化 −地形変化や気候変動による地下水流動状態の変動性評価手法の構築− 尾上 博則 | |
8-9 | 緩衝材の力学解析手法構築を目指して −塩水条件での緩衝材に対する弾塑性構成モデルの適用性の検討− 高山 裕介 | |
8-10 | 地下環境での鉄とケイ素の相互作用メカニズムを解明する −還元環境下における二価鉄ケイ酸塩共沈生成物の特性の把握− Paul Clarence M. Francisco | |
8-11 | マイクロ流路内のプラズマで放射性試料を分析する −液体電極プラズマ発光分光分析法による高レベル放射性廃液中のセシウムの定量− 小 典康 | |
9 | システム計算科学研究 | |
原子力研究開発を支える計算科学技術 | ||
9-1 | デブリ空冷模擬実験のマルチスケール熱流動解析 −格子ボルツマン法向け熱流動解析コードの開発− 小野寺 直幸 | |
9-2 | 計算科学による超伝導中性子顕微鏡の設計開発 −中性子検出器内の全ての放射線をシミュレーションし動作を予測する− Alex Malins | |
9-3 | 鉄の変形を原子の動きから理解する −原子シミュレーションによるらせん転位の運動と結晶すべり面変化の解析− 鈴圡 知明 | |
9-4 | 世界最大の GPUスーパーコンピュータを用いた多相流体解析 −GPU向け省通信型行列解法の開発− 井戸村 泰宏 | |
10 | 核不拡散・核セキュリティ科学技術開発 | |
原子力平和利用を支える核不拡散・核セキュリティに関する技術開発・人材育成 | ||
10-1 | 保障措置のための核燃料物質の非破壊測定 −欧州委員会/共同研究センターの PUNITAを用いた遅発ガンマ線測定技術開発− 山口 知輝、Douglas Chase Rodriguez |