新型転換炉ふげん発電所では、作業の安全性向上や被ばく低減、廃棄物発生の抑制等を考慮した合理的な廃止措置の計画立案を目的として、廃止措置エンジニアリング支援システム(以下、DEXUSという)の開発を進めています。
DEXUSは、「計画時の支援システム」と「解体時の支援システム」、及び両システムで使用する各種データを統合管理するデータベースシステムから構成されています。更に、「計画時の支援システム」は「VR・可視化システム」と「評価システム」から、「解体時の支援システム」は「AR・可視化システム」と「情報管理システム」から構成されています(図9-5)。
ここでは、DEXUS内のデータベースシステムと、VR・可視化システムの解体作業シミュレーションシステムについて開発状況を紹介します。
データベースシステムは、「ふげん」の3D-CADデータや、設備情報、及び放射能インベントリ情報等から構成されるシステムです。特に3D-CADソフトウエアについては、廃止措置に向けた各種検討を効率的に進めるために、以下に示すような3D-CADの拡張機能を付加し、検討の効率化を図っています。
@3次元CADと設備情報等の文字情報や、写真、計装配管図(2次元CAD)等との連携機能
A3D-CAD上の機器を切断する機能
B任意空間内の物量集計機能 等
次に解体作業シミュレーションシステムの開発ですが、「ふげん」のような原子力発電所の廃止措置は、高度に放射化した原子炉本体を除けば、多くの設備の解体撤去は人的作業によって行われます。このため、作業の安全性や被ばく低減を考慮した適切な作業計画を立案するため、作業内容や被ばくに関する事前評価が重要となります。この事前評価を効率的に行うために、ノルウェーエネルギー研究所と共同で、仮想現実感(VR:VirtualReality)技術を用いた解体作業シミュレーションシステム(VRdose)を開発しました(図9-6)。本システムは、「ふげん」の3D-CADデータ、及び空間線量データ等を基に作成したVR空間内で人体モデルに作業を行わせることによって、外部被ばくや内部被ばくを評価できるシステムです。また、作業員への作業前教育やPA等にも有効活用することができます。
「ふげん」で現在計画されている設備の解体試験等にDEXUSを適用することにより、DEXUSの評価機能の検証や必要に応じて改良等を行っていく計画です。