1-11 極限環境下での安全確保への挑戦

− 「もんじゅ」原子炉容器廻り供用期間中検査装置の開発−

図1-27 検査装置の探傷状況(モックアップ設備走行風景)

図1-27 検査装置の探傷状況(モックアップ設備走行風景)

 

表1-1 主な検査条件

表1-1 主な検査条件

 

図1-28 検査装置概要

図1-28 検査装置概要


「もんじゅ」では、安全上重要な原子炉容器(RV)に対し、供用期間中検査(ISI)として目視検査を実施します。RVの中には、核燃料と冷却材であるナトリウムが入っています。検査環境は軽水炉とは異なり、人の接近が困難な極限環境です(表1-1)。

そこで、極限環境の中でも遠隔操作により検査ができる検査装置の開発を実施しました。

人の接近できるオペレーティングフロアに設置した検査機挿入装置内のゴンドラを使って、検査装置を案内管内まで降ろします。ゴンドラを出て案内管を自走しながらRVとガードベッセル間の約300mmの隙間に挿入し、検査箇所まで移動し、検査を実施します。検査装置は、ばねによる押し付け力で自重を支えながら、約50mのケーブルによる遠隔操作で無軌道の垂直壁面間をビードセンサで溶接部を検出することで、検査対象である溶接線に沿って走行しCCDカメラによる目視検査を行います(図1-27)。これまでは、3万画素の耐熱・耐放射線ファイバースコープを用いていましたが、新しく開発した検査装置(図1-28)には、41万画素のCCDカメラを冷却しながら利用することで、より精度の高い検査が可能となりました。目視検査では、ナトリウムの漏えい痕等の有無を検査しますが、漏えいに至る前に「きず」が検出できるように、研究開発段階の電磁超音波探触子(EMAT)を搭載し、より一層の安全性向上の研究開発を継続しています。

今後も、安全性向上を図るために極限環境での検査装置開発に挑戦し続けます。


●参考文献
Tagawa, A. et al., Development of the ISI Device for Fast Breeder Reactor MONJU Reactor Vessel, Journal of Power and Energy Systems, vol.1, no.1, 2007, p.3-12.