1-9 原子炉緊急停止に失敗する確率は非常に小さいことを評価

− 「もんじゅ」におけるATWS発生頻度評価−

図1-22 一次主冷却系循環ポンプ1台停止事象の説明図

図1-22 一次主冷却系循環ポンプ1台停止事象の説明図

 

図1-23 一次主冷却系循環ポンプ1台停止事象の被覆管肉厚中心温度

図1-23 一次主冷却系循環ポンプ1台停止事象の被覆管肉厚中心温度

 

図1-24 一次主冷却系循環ポンプ1台停止事象の事象推移
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図1-24 一次主冷却系循環ポンプ1台停止事象の事象推移


原子炉施設の安全対策は、(1)異常発生の防止、(2)異常拡大の防止、(3)放射性物質放散の抑制、という三つの段階に対して設けることで、その確実性が高められています。

ではどれほど確実なのか、設けられた安全対策が有効に働かない確率は非常に小さいですが、それを評価するには確率論的なアプローチを用いることが有効です。

この確率論的安全評価の一環として、ATWS発生頻度を評価しています。ATWSとは原子炉の緊急停止が要求された場合に、それに失敗する事象のことをいいます。

ATWSの一つの例として、一次主冷却系循環ポンプが1台停止すると原子炉緊急停止信号が発生しますが、その時に原子炉緊急停止に失敗する場合を考えます。図1-22に「もんじゅ」に3ループある冷却系のうち、Bループの主循環ポンプが停止した場合を示します。通常は、Bループにある逆止弁が閉まり、A,Cループからの冷却材が逆流し炉心流量が低下することを防止します。このような場合に更に逆止弁が閉まらなかった場合も考慮します。

図1-23に示す解析により、主循環ポンプ1台停止事象時の炉心の健全性を燃料被覆管の温度で評価し、原子炉緊急停止信号発信に失敗し逆止弁が作動した場合(閉まった場合)には判断基準以下の温度であることが分かります。

事象の推移は、図1-24のイベントツリーに示すすべての場合について評価します。主循環ポンプ1台停止による一次系1ループ流量減少によって原子炉緊急停止信号が発信される場合とされない場合を考えます。緊急停止信号が発生した場合には制御棒が挿入された場合と失敗した場合を考えます。図1-23の結果を用い、原子炉緊急停止信号発信に失敗し逆止弁が作動した時は、炉心燃料は健全となります。これらの安全機能が満たされない確率はフォールトツリー解析等で評価され、1回の動作要求に対し10−10〜10−5程度と小さく、それぞれの安全機能は高い信頼性が確保されています。

その他の事象についても評価した結果、「もんじゅ」のATWS発生頻度は10−8/炉年程度であると推定できます。

本研究によって、「もんじゅ」のATWS発生頻度は十分小さく、異常が発生した場合でも原子炉を安全に停止させる機能には高い確実性が確保されていることを確認しました。


●参考文献
Sotsu, M. et al., ATWS Frequency Evaluation of FBR MONJU, Proceedings of 14th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 14), Miami, USA, 2006, ICONE14-89377, in CD-ROM.