図1-30 簡素化ペレット法燃料製造プロセス(現行MOX燃料製造との比較)
将来に向けてFBR燃料製造技術を実用化するためには、混合酸化物(MOX)燃料製造に係る経済性をより向上させる必要があります。
簡素化ペレット法燃料製造プロセスでは、現行の粉末混合によるPu富化度調整から溶液段階での混合調整への変更に加えて、新たな造粒技術やダイ潤滑機構の成型技術を採用することにより、製造プロセスが現行の約1/3にまで短縮され、飛躍的に簡素化できるというメリットがあります(図1-30)。
第一の特徴は、現行の機械的な粉末混合工程を削減するために、溶液段階でPu富化度調整を行うことです。溶液段階でのPu富化度調整については、模擬物質を用いた送液試験の結果から、現行の送液システムに定量供給槽を追加することで所定の精度内(±2.5%)で混合できることを確認しました。更に、Pu富化度調整溶液(Pu/U=3/7)のマイクロ波加熱脱硝粉末(Pu富化度調整粉末)を用いて製造したペレットの金相を観察すると、Puスポットが全くないことが確認できました。この結果から、溶液段階でのPu富化度調整により得られるMOX粉末のPu,Uの均一性は現行法と同等以上であると考えられます。
第二の特徴は、ペレット成型用金型へのMOX粉末の充てんをスムーズに行うために、Pu富化度調整粉末を得る過程において造粒を実施して粉末の流動性を向上 (Carr指数60以上)することです。造粒には高速攪拌法が有効であり、有機系の結合剤ではなく、水を使用 (10数%添加)することにより、十分な流動性を有する顆粒を得ることができます。このMOX粉末を用い、現行法とほぼ同等な圧力で成型,焼結して得たペレットの焼結密度は所定の値(95%TD)を達成しました。
上記のMOX粉末を用い、ダイ潤滑機構による成型で中空ペレットを試作し、実験室規模ではありますが簡素化ペレット法燃料製造技術に関する成立性を確認しました。
今後は、現在整備を進めている小規模MOX試験設備において脱硝転換・造粒及びダイ潤滑成型,焼結・O/M調整に係る技術開発試験を実施し、2010年に予定されている革新技術の採否判断に向け、簡素化ペレット法燃料製造プロセスの工学規模での成立性に係る技術的な裏付けとなるデータを取得する計画です。