図9-4 廃棄物管理システムの機能と構成概念
表9-2 廃棄物管理システムで管理するQAデータ(一例)
放射性廃棄物の埋設処分では、廃棄体化処理施設や処分場の設計に必要な廃棄物データとともに、埋設処分する廃棄体(埋設に適した形態に処理した廃棄物)が基準に適合していることを証明する必要があります。また、これらのデータは廃棄物が埋設処分されるまでの長期間、データの関連性を確保し体系的に管理する必要があります。このため、私たちは、放射性廃棄物に関するデータの追跡性を確保した一元的管理とデータの解析・集計などを行う総合的なシステム(廃棄物管理システム)の開発を進めています。
廃棄物のデータとしては、廃棄物発生時の情報や、焼却,圧縮,固型化などの廃棄体化処理に係る情報,廃棄体作製に使用した原材料などの品質証明記録,測定機器などの校正記録,作業従事者の教育記録など、発生から廃棄体となるまでの間の幅広い品質保証に関するデータ(以下「QAデータ」)が必要となります。具体的な項目例を表9-2に示します。
また、現在進めている廃棄体化処理施設及び埋設施設の設計並びに埋設処分に係る制度検討などに際し、対象となる廃棄物に係る情報が適宜必要となることから、これらの基礎となる情報データ(以下「OSISデータ」)も管理する必要があります。
廃棄物管理システムは、図9-4に示すように、QAデータ及びOSISデータをもとにして、以下の4つの主たる機能で構成されています。
(1)QA解析機能:個々の廃棄体の特性を示す物性値などの解析や、廃棄体の品質証明の際に必要となる技術的な説明書などの書類作成等の情報加工を担う。
(2)OSIS解析機能:廃棄物中の核種別放射能量や廃棄体量,処分区分評価等,処理・処分施設の設計や制度検討などに資するために既存データの加工を担う。
(3)QA管理機能:全てのQAデータを保証しつつ廃棄体1体ごとに関連付けたQAデータの管理を担う。
(4)OSIS管理機能:OSIS解析機能の各種評価に資するデータと評価結果のデータを管理する。
これら機能のうち管理機能は、データの特徴に応じた区分のデータベースとして、また、解析機能は機能別のプログラムとして整備し、これらに関する機器(サーバやパソコン)をネットワークで結び、拡張性の高いシステム概念を構築しました。
今後、本概念を基に各機能を具体的に構築し、順次現在の廃棄物管理体系に組み込むとともに、廃棄物データを整備し、将来の廃棄体確認などに対応できるシステム作りを進めていく予定です。