3-5 幅広いアプローチ活動におけるサテライト・トカマク計画事業の進展

−順調に進む先進超伝導トカマクJT-60SAの建設活動−

図3-13 超伝導コイルの組立図と平衡磁場コイル導体の製作状況

拡大図(164KB)

図3-13 超伝導コイルの組立図と平衡磁場コイル導体の製作状況

欧州はトロイダル磁場コイル(18個)を、日本は平衡磁場コイル(6個)と中心ソレノイド(4モジュール)を調達します。右の写真は、那珂核融合研究所の導体製作棟における平衡磁場コイル用超伝導導体製作の様子です。

 

図3-14 真空容器の組立図と試作試験体

拡大図(85KB)

図3-14 真空容器の組立図と試作試験体

真空容器の組立図に示される上部20度セクターの試作試験が完了し、実機の製作が工場で開始されるとともに、試験体が那珂核融合研究所の真空容器組立棟に搬入されました。

日欧協力により実施されているサテライト・トカマク計画では、各機器の設計・製作及び2012年から始まるトカマクの組立準備と2016年のファーストプラズマ達成に向けたサイト整備を含むJT-60SAの建設活動が順調に進展しました。これまでに日本分担である超伝導ポロイ ダル磁場コイル,真空容器,ダイバータ,第一壁材料及び、欧州分担であるコイル用電源,クライオスタット,高温超伝導電流導入端子,超伝導トロイダル磁場コイルの調達取決めが日欧の実施機関(原子力機構とFusion for Energy)間で締結され、それらの技術仕様に基づき、実施機関等が産業界と契約を結び、機器の調達活動を実施しています。

超伝導トロイダル磁場コイルについては、2010年に調達取決めが締結され、超伝導導体製作の契約が開始されました。平衡磁場コイルと中心ソレノイドから成る超伝導ポロイダル磁場コイルについては、那珂核融合研究所において、2009年に導体製作棟及び全長80 mのコイル巻線棟が完成し、2010年より630 mのジャケッティング・ラインを用いた平衡磁場コイル導体の製作が始まりました(図3-13)。

真空容器については、2010年に工場で真空容器の試作試験が完了し、実機の製作が開始されました(図3-14)。那珂核融合研究所では、真空容器組立棟が完成し、工場から那珂核融合研究所に搬入される内・外側の40度セクター(ドーナツ状の容器の高さは約6.6 m)を溶接するための準備が整いました。真空容器内で使用される第一壁材料のための炭素繊維強化複合材の調達も順調に進んでいます。

建設活動と並行して、那珂核融合研究所ではJT-60施設の解体作業が予定通り進捗し、実験棟内にある加 熱装置の一部や中性子遮へい壁、計測架台等が撤去されました。また、将来の実験運転に向け、2011年2月にJT-60SAリサーチプラン「国内案」が、原子力機構70名と大学等66名(13研究機関)の研究者で策定され、現在この案をもとに、9カ国にわたる18研究機関の欧州研究者70名とともに総勢200名でリサーチ プラン「日欧案」の検討を進めています。