1-4 砂利の表面を削って再利用を図り廃棄物の低減を目指す

−汎用機を使っての砂利の除染−

図1-8 摩砕方式による除染試験

図1-8 摩砕方式による除染試験

渦巻き状の水流で砂利の表面が削れる汎用のバレル研磨機を使い、1バッチ当たり砂利:20 kg,水:20L,回転数:150 rpm及び研削時間:20〜60分で試験を実施しました。

 

図1-9 研削率と低減率の関係

図1-9 研削率と低減率の関係

今回の試験では除染前に比べ表面線量率で最大66%の低減効果が確認できました。今後は、更に研削量を増やした場合の低減効果を得るため、研削量と低減率の相関関係を明確にします。

 

図1-10 除染試験前後の放射性セシウムの分布状態

図1-10 除染試験前後の放射性セシウムの分布状態

イメージングプレートを用いて、半割りした砂利(花崗岩)の断面を測定した結果、主に黒雲母の箇所に放射性セシウムが多く集まり、また、除染(20分研削)後は削れた箇所の放射性セシウムが減少しました。

住宅や公共施設に敷設されている放射性セシウムが付着した砂利 (玉砂利等) は、空間線量を下げるために剥ぎ取って廃棄物とするか、汚染レベルが低い場合には表面に付着した細粒土砂等を高圧水洗浄で取り除いて再利用しています。砂利は砕石に比べて高価なことや廃棄物の低減化の観点から、汚染レベルの高い砂利を廃棄物とせず、効果的に除染する方法の選定が要望されています。

砂利の除染は、その表面を削ることで高い効果が得られる可能性があるため、本試験では摩砕方式を選択し研削時間や水の添加量等の条件を変え、砂利どうしを効率的にこすり合わせることで、合理的な除染手順を見つけようとしました。

試験においては、各試験中及び試験後の状態を観察し、適切に砂利が削れていることを確認しました(図1-8)。ただ、研削材を添加しない砂利と水だけの共摺りのため、砂利の凹部が削れていない箇所がありました。

試験の結果、砂利を20分間研削した場合は、研削率の平均が約4%、表面線量率の低減率の平均が約37%、また、研削時間を60分間にした場合は、研削率の平均が約10%、表面線量率の低減率の平均が約60% (最大66%) と研削時間の長さの割には低くなりました(図1-9)。

低減率が低かった原因を確認するため、放射性セシウムが除染前後の砂利に対してどのような分布状態にあるかをイメージングプレート(IP:フィルムに放射線を感光させた測定方法)を用いて測定しました。砂利 (花崗岩) を半割りした断面の観察とIPによる測定結果(図1-10)との比較から、放射性セシウムは砂利表面の黒い部分(黒雲母)に多く付いていることが確認でき、また、表面より少し深いところまで入り込んでいることも分かりました。

今回の試験では、富岡町リフレ富岡の庭と屋上に大量に敷設している砂利の一部を採取して行いましたが、事前の模擬試験時に購入した砂利に比べてかなり硬く、研削時間を多く要しました。また、放射性セシウムが吸着しやすい雲母を多く含んでいたため、線量率の低減率も予想より低い結果となりました。

住宅等に敷設している砂利は、色・形状・大きさ等が様々で硬さもそれぞれ違います。このことから、砂利の種類に合わせた合理的な除染条件の設定が必要です。今回の試験結果を基に、砂利の再使用が図られ廃棄物の発生量を低減できるよう有効な除染方法及び条件を整えたいと思います。