7-2 過酷な自然災害にも耐える原子炉建屋を目指して

−建屋に対する外的事象評価−

図7-4 鋼板コンクリート構造と先進型免震装置

図7-4 鋼板コンクリート構造と先進型免震装置

2枚の鋼板間にコンクリートを充てんする鋼板コンクリート構造と積層ゴム・オイルダンパを用いた免震装置を原子炉建屋に採用することを検討しています。

 

図7-5 評価対象の外的事象

図7-5 評価対象の外的事象

地震・津波といった事象のほかにも積雪・強風・火災事象について評価を実施しました。

 

表7-1 地震に対する原子炉建屋及び免震装置の構造健全性評価結果

地震荷重に対して評価を実施した結果、すべての項目で裕度(評価値/要求値)を2以上確保できる結果となりました。

表7-1 地震に対する原子炉建屋及び免震装置の構造健全性評価結果

 

表7-2 津波に対する原子炉建屋及び免震装置の構造健全性評価結果

津波荷重に対して評価を実施した結果、適切な壁厚を設定することで、裕度を確保できる結果となりました。

表7-2 津波に対する原子炉建屋及び免震装置の構造健全性評価結果


ナトリウム冷却型高速炉(Sodium-cooled Fast Reactor:SFR)では、原子炉建屋に鋼板コンクリート(Steel plate reinforced Concrete: SC)構造の採用を検討しています。SC構造は2枚の鋼板間にコンクリートを充てんさせ、スタッド等によって結合されています。また、地震に対しては、積層ゴムとオイルダンパを用いた免震装置の採用を検討しています(図7-4)。

2011年3月の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、建屋への外的事象に対する構造健全性や安定性の評価を実施しました。

評価を実施した外的事象について図7-5に示します。評価対象とした外的事象は「地震・津波・積雪・強風・火災事象」としました。評価対象の外的事象は、原子炉建屋の構造健全性や安定性を損なう可能性のある事象であり、それらの事象に耐えられる原子炉建屋を建設することが原子炉の安全を守ることになります。具体的には、原子炉建屋に対して地震や津波の荷重がかかった際に、原子炉建屋の外壁が破損することなく、内包する原子炉容器などに影響を与えないことが求められます。

地震に対する評価結果を表7-1に、津波に対する評価結果を表7-2に示します。評価の結果、適切な壁厚を設定すれば地震荷重及び津波荷重に対して原子炉建屋が破損することなく構造健全性を確保できる見通しを得ることができました。

その他の評価事象である「積雪・強風・火災事象」に対しても原子炉建屋の構造健全性は確保できる評価結果を得ることができました。

本研究は、経済産業省からの受託事業「発電用新型炉等技術開発」の成果の一部です。