8-5 地質環境調査から解析までのデータの流れを可視化

−統合化データフローの構築(研究坑道の掘削を伴う研究段階:第2段階)−

図8-13 統合化データフローの例(地下水の地球化学的特性の把握:サイトスケール)

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図8-13 統合化データフローの例(地下水の地球化学的特性の把握:サイトスケール)


統合化データフローは、地質環境調査・評価から地層処分場の設計・性能評価への情報の流れを示し、地質環境調査・評価の計画を管理するうえで有効な方法であると考えられます(図8-13)。超深地層研究所計画においてもこの方法を用いて地質環境の調査・評価を進めてきました。この統合化データフローは、地下施設の設計・施工及び安全評価の観点から整理した調査研究の個別目標と課題(図8-13:右端カラム)に対して、研究坑道内で実施する調査の種類と組合せ,取得するデータの種類,データの解釈及び異なる分野で得られた情報の統合など、実際の作業の流れを示したものです。

地質環境調査・評価では、複数の研究者・技術者が解析やモデル化を数年間にわたって実施することが多く、調査からモデル化・解析までの流れについては、研究者間での理解度の差や、モデル化などの考え方に違いが生じることがあります。統合化データフローを構築し、それに従い個別目標/課題を達成するための調査や解析を実施すれば、データの流れや解析に至る考え方を可視化して整理することができ、将来同様の調査などを実施する際に、考え方などをトレースすることができるようになります。また、調査を進める過程で、得られた地質環境情報や社会情勢の変化などによって調査・評価計画を見直した際に、その結果を統合化データフローの更新によって記録することができます。このように更新した履歴についても、それを分析することにより、地質環境調査の進展などに応じて、調査計画を最適化するための要因、判断とその根拠についてのルールや事例といった知識として利用することができると考えられます。

統合化データフローについては、調査研究の進展に伴って蓄積された科学的・技術的知見を踏まえて、統合化の妥当性を評価し、更にはその最適化及び詳細化を段階的に図ることにより、地層処分にとって重要な地質環境特性を理解するための体系化された調査・評価技術を整備することに反映していきます。

今後も、地質環境調査・評価を通じて得た経験や知識を統合化データフローなどを活用して整理し、地層処分事業及び安全規制に反映していきます。