6-2 高温ガス炉による環境負荷低減に向けて

−高温ガス炉の特長を活かした放射性廃棄物減容の研究−

図6-4 処分場専有面積の考え方

拡大図(107kB)

図6-4 処分場専有面積の考え方

緩衝材が100 ℃を超えない範囲で密に配置することにより、専有面積の低減ができます。一方で、力学的制約により、専有面積の削減には限界があります。直接処分ではキャニスターが大きいため、力学的制約による専有面積も大きくなります。

 

表6-1 1 TWeh発電あたりの高レベル放射性廃棄物発生体数と処分場専有面積の比較

発電量あたりの廃棄物発生量と専有面積を直接処分、再処理時において高温ガス炉と軽水炉で比較しています。本ケースでは全て、処分場専有面積が力学的制約により決まっており、キャニスターの大きさにより差が出ています。

表6-1 1TWeh発電あたりの高レベル放射性廃棄物発生体数と処分場専有面積の比較

 

表6-2 高温ガス炉放射性廃棄物及び処分法の最適化

表6-1に示した高温ガス炉の廃棄物処分に対し最適化を行い、さらなる減容を図りました。専有面積は直接処分で5割減、再処理時は8割減、群分離併用時は9割減と大幅な減容効果を確認しました。

表6-2 高温ガス炉放射性廃棄物及び処分法の最適化

 


原子力発電において廃棄物問題は重要です。廃棄物処分の安全性は、廃棄物の腐食・漏えいを想定し、公衆が受ける被ばく量を制限し、確保されます。さらに、廃棄物減容は必要とされる処分場面積を削減する観点から重要です。

高温ガス炉は、その高温を利用した効率的な発電により、発電で発生する核分裂生成物(FP)が軽水炉の7割程度との利点があります。このような利点を活かし、廃棄物削減による環境負荷低減を目的とします。直接処分では、被覆粒子燃料の閉じ込め機能の高さは処分後も期待でき、燃料の高温耐性から、貯蔵中の冷却にも有利です。

ガラス固化体は、キャニスターに入れられ(以下、廃棄体)、緩衝材で囲まれ、地層中に処分されます。使用済燃料についても同様の処分を仮定します。廃棄体からの崩壊熱による緩衝材の変質を防ぐため、100 ℃以下に温度を保つ必要があります。そのため、制限温度を超えない範囲で、廃棄体の間隔を狭くし、処分場専有面積を低減します(図6-4)。

次に、単位発電量あたりの廃棄体発生を表6-1に示します。力学的制約により専有面積が決定されるため、キャニスターの大きさに比例して廃棄体1体あたりの専有面積が大きくなります。高温ガス炉の廃棄物発生体数及び処分場専有面積は軽水炉と比較し、直接処分時に軽水炉の6割減、再処理時に3割減となります。その理由は、再処理では前述の発電効率の高さにより、直接処分では、さらに、エネルギー発生あたりの超ウラン元素(TRU)の発生量が少ない核特性によります。

さらに、この高温ガス炉廃棄物の発生を基準とし、条件最適化による減容を検討しました(表6-2)。処分法は力学的制約にかからないことを狙い、横置き方式としました。直接処分に関しては、処分前の冷却期間94年で専有面積が半減します。短半減期のFPは減衰し、半減期が長いTRUの崩壊熱が主体となる領域で、冷却期間の延長は効率的ではありません。再処理時は再処理を1.5年の遅延のみで、ガラス固化体発生体数が2割減、94年冷却後の処分(力学的制約に到達)で、専有面積が8割減となります。さらに、群分離技術の併用も検討しました。群分離でSr-Csを分離して別の廃棄物とした場合、これを含めても、廃棄物発生体数は6割減となります。154年冷却後の処分で専有面積は9割減となります。

このように、高温ガス炉導入による廃棄物の大幅な削減と環境負荷低減を確認しました。



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