はじめに

小口理事長

 

はじめに

 

平素より日本原子力研究開発機構(原子力機構)の研究開発活動にご理解、ご支援を賜り、誠にありがとうございます。

原子力機構の使命は原子力科学技術の追求を通じて人類社会の福祉と繁栄に貢献することであり、その実現に向けて安全を最優先に日々研究開発に取り組んでおります。

今、原子力を取り巻く社会環境は大きく変化をしております。特に脱炭素社会の実現といった大きな方向性の転換はまさに原子力にとって大きなイノベーションのチャンスであり、原子力機構としてもこのダイナミックな変化を捉えて、大胆な発想の転換を通じて着実に社会に貢献してゆきたいと考えております。

そのため原子力機構はこの4月から新たなビジョン「ニュークリアとリニューアブルで拓く新しい未来」を掲げました。

具体的には国家の方針である2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、原子力機構としての活動の方向性をまとめたもので、「ニュークリアとリニューアブル技術の相乗効果(Synergy)の追求」「原子力自体のサステナブル(Sustainable)化」「原子力技術の多様(Ubiquitous)化」の3本柱から成り立っております。

Synergyにおいては特にリニューアブル・エナジーとの相乗効果の高い新型革新炉の開発に取り組んでおります。Sustainableにおいては高レベル放射廃棄物の減容・毒性低減・再資源化に取り組むとともに設備廃止措置の着実な実施、更には東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた支援などに取り組んでおります。Ubiquitousではがん治療用の放射性同位体の製造、JRR-3やJ-PARCなどの中性子や放射光を利用した新素材の開発などに取り組んでおります。

本誌ではこれら原子力機構が取り組んでいる研究開発を通じて得られた最新の知見、成果をご紹介いたします。原子力機構の活動状況の公表を通じて一層のご理解、ご支援につながることを期待してやみません。引き続きよろしくお願いいたします。

 

 

2023年10月

国立研究開発法人

日本原子力研究開発機構

理事長

小口理事長サイン