12-8 深地層の研究施設の本格的な掘削を開始

−地層処分技術に関する研究開発用の地下研究施設−

図12-18 瑞浪超深地層研究所の概要(研究坑道のレイアウトと地上施設の配置)
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図12-18 瑞浪超深地層研究所の概要
(研究坑道のレイアウトと地上施設の配置)

瑞浪超深地層研究所は、地下施設(研究坑道)と地上設備から構成されています。研究坑道は地下1,000 mに達する2本の立坑(主立坑;内径6.5 m、換気立坑;内径4.5 m)と、2本の立坑をつなぐ予備ステージ、研究の場となる中間ステージと最深ステージなどの水平坑道からなっています(a)。地上施設は立坑を掘削するための設備(掘削タワーや巻上機)、受電設備、排水処理設備などがあります(b)。

高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のための主要な研究施設の一つとなる深地層の研究施設が、岐阜県瑞浪市において建設が進められています。この研究施設を、瑞浪超深地層研究所と名付けています。ここでは、深地層の科学的研究を行うために、地下1,000 mという大深度に立坑や水平坑道からなる研究坑道を掘削する計画です(図12-18)。研究坑道は、深部地質環境の総合的な調査技術の確立及び深地層における工学技術の基礎の開発を行う場としての役割を担うと共に、深地層に対する国民の理解促進の場としての役割も担っています。

このうち、設計や建設などの施設建設に関連する研究では、坑道のレイアウトを検討すると共に、空洞安定性、耐震性、通気などの設計・検討を実施しました。また、掘削計画を立案し、大深度立坑の掘削効率を向上させるための設備や方法についても検討しました。具体的には、掘削ズリを搬出する装置を複数台利用することや、通常は1回発破するごとにコンクリートを設置するところを2回発破してからコンクリートを設置するという立坑掘削方法を採用することで、掘削効率を向上させました。

この設計・施工計画に基づいて、2005年2月には本格的な立坑掘削を開始しました。同年10月に主立坑172 m、換気立坑191 mに到達したところで、立坑排水中のふっ素とほう素が環境基準を超過するという問題が生じたため、立坑からの排水を停止し、掘削工事を一時休止しました。この新たな課題に取り組むべく、排水処理設備を増強し、2006年4月に掘削工事を再開しました。今後は、湧水抑制対策を実施しながら、調査研究を行いつつ、深度500 m、1,000 mと掘削を進めていく計画です。


●参考文献
Sato, T. et al., Status of Japanese Underground Research Laboratory -Design and Construction of 1000 m-deep Shafts and Research Tunnels-, In Underground Space Use: Analysis of the Past and Lessons for the Future, Erdem & Solak (eds), 2005, p.335-341.