2-13 TRU廃棄物処分研究の成果

−第2次TRUレポートより−

図2-24 TRU廃棄物地層処分の線量評価

図2-24 TRU廃棄物地層処分の線量評価

よう素129や有機形態の炭素14が最も寄与しています。我が国の代表的な地質環境を想定して行ったものです。

図2-25 TRU廃棄物処分場と高レベル放射性廃棄物(HLW)処分場の併置の概念図

図2-25 TRU廃棄物処分場と高レベル放射性廃棄物(HLW)処分場の併置の概念図

併置処分の技術的成立性として処分場間の相互影響(HLW処分場からの熱、TRU廃棄物処分場からの硝酸塩、アルカリ性溶液、有機物)が検討されました。数百メートルの離間距離の確保によって相互影響が回避でき、技術的成立性の見通しが得られました。

再処理施設やMOX燃料を製造する施設の操業・解体に伴って発生する低レベル放射性廃棄物のことを、従来より超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)と呼んでいます(同じ廃棄物に対する呼称として「長半減低発熱放射性廃棄物」もありますが、本稿ではTRU廃棄物とします)。

核燃料サイクルの確立にあたり、TRU廃棄物の安全かつ合理的な処分対策の確立が必要であることから、旧サイクル機構と電気事業者は共同でその研究開発を進め、成果を「TRU廃棄物処分技術検討書(以下、「第2次TRUレポート」という)1)」に取りまとめました。その内訳は、最新の廃棄体情報と発生見通し、我が国の地質環境を対象としたTRU廃棄物地層処分概念の詳細化・合理化・安全性に係る検討、同廃棄物の浅地中処分及び余裕深度処分の安全性の見通し、更には幅広い地質環境や評価の不確実性に対応するための予備的技術としての代替技術、及び今後の開発課題に関する記述です。

地層処分の安全評価に関しては、セメント材料やこれと接する緩衝材及び周辺岩盤の長期的変質、処分システムや核種移行挙動に対する硝酸塩・有機物・ガス発生・コロイド及び微生物の影響等についての最新の知見や試験データの整理を行いました。

これらにより信頼性の高い評価モデルの整備及びパラメータ設定を行うことが可能となりました。ちなみに、我が国の代表的な地質環境を想定して行った線量評価によれば、処分後約1万年後に最大値となり、その値は我が国の自然放射線レベルより3桁低い程度となりました(図2-24)。

地層処分の合理化方策関連では、高レベル廃棄物との併置処分(図2-25)について解析し、一定の離間距離を設けることによって相互の影響を避けることが可能との見通しを得ました。原子力委員会長半減期低発熱放射性廃棄物処分技術検討会では、特にこの結果について審議され、併置処分の技術的成立性があるものと判断されました。

第2次TRUレポートはまた、処分の制度化や安全規制・基準等の整備にも技術基盤を提供するものと考えます。