2-4 地質環境における物質移動係数を集約・管理する

−拡散データベースシステムの開発と公開−

表2-1 拡散データベースの構成内容(一部)

表2-1 拡散データベースの構成内容(一部)
拡大図(272KB)

 

図2-10 データ検索条件設定のインターフェース(主要検索項目)

図2-10 データ検索条件設定のインターフェース(主要検索項目)


私たちは、地層処分の安全評価に係る研究に貢献するとともに、同分野の研究者ほか広く一般に対して成果を公開し、有効に活用されることを目的として、種々の核種が物質中を拡散・移行する際の評価に活用可能な物性値の一つである拡散係数に注目し、その調査結果のデータベース方式による管理・活用を行うためのシステム(DDB:Diffusion DataBase system)を構築しました。

拡散係数及び関連する付帯情報(試料の間隙率,実験方法,溶液組成等;表2-1)は、原則として公開文献を調査・整理することで入手します。DDBは、これらのデータを一括して管理するとともに、検索条件設定のインターフェースを通じて、使用者が必要なデータを抽出することができます。データには、情報源となった文献情報も記載されていることから、必要に応じて原著にさかのぼって詳細に調査することも可能です。DDBに登録しているデータは、「地層処分研究開発第2次取りまとめ」における活用を目的として整備した、1980〜1998年に公開された文献から調査した、我が国の岩石中における性能評価対象元素の拡散係数(約300件)です。

DDBは、取り扱い可能なデータ項目を、先述した拡散係数及び付帯情報の管理を目的として広範囲に用意しており、核種の拡散係数に係る一連のデータを網羅的に管理可能な仕様としました。DDBの公開のため、主にデータ検索・表示フォームの刷新を行いました。本改良により、検索条件を画面から選択して指定したり、イオン濃度等の数値データに対して、数値範囲を指定したりすることが可能になるとともに、文献の著者及びタイトルなど多岐にわたる項目を文字列指定で同時に検索できるように改良を実施しました(図2-10)。構築したデータベースシステムは、Microsoftr_mark Office Accessで動作する形式とし、原子力機構のWebページ (URL: https://migrationdb.jaea.go.jp/)において公開しています。DDBは、更に適用範囲の拡大を目的として、緩衝材中における性能評価対象元素の拡散係数と、関係する付帯情報を調査・整備中であり、近日中にデータを追加登録し、公開する予定です。