2-4 信頼性の高い核種移行データベースの開発

−収着/拡散データベース(JAEA-SDB/DDB)の改良・更新−

図2-11 収着データベース(JAEA-SDB)における信頼度情報に係る機能/ガイドラインとその活用例
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図2-11 収着データベース(JAEA-SDB)における信頼度情報に係る機能/ガイドラインとその活用例


地層処分の安全評価において、人工バリアである緩衝材(ベントナイト)や天然バリアである岩石中での核種の収着・拡散現象は、核種の移行遅延を支配する重要な現象です。これらの現象に係る収着分配係数及び拡散係数のデータベース化を、地層処分研究開発第2次取りまとめを契機として進めてきました。今回、データの信頼度情報、実際の地質環境でのパラメータ設定支援など、今後の安全評価ニーズへの対応を可能とする情報や機能を大幅に拡充し、実用性と信頼性の高い収着・拡散データベース(JAEA-SDB/DDB)として整備・公開しました。
 今回構築した収着・拡散データベースには、ベントナイト及び岩石に対する重要核種の収着分配係数(24,000件)、拡散係数(3,000件)が、その関連情報とともに含まれています。今回拡充を行った主要な点は、 
(1)収着データベースと拡散データベースの整合と連携
(2)データ信頼度評価手法の構築と信頼度情報の活用
(3)パラメータ推定や検索・グラフ化機能
(4)データ/文献数集計,データ集約表作成機能
などであり、信頼度情報と関連する検索機能を拡充した点が、最大の改良点となります。
 収着データベースには、様々な実験条件・手法によって得られた信頼度の異なる分配係数データが含まれ、この点がデータベース活用上の課題となっていました。このため、分配係数データの信頼度評価手法として、日本原子力学会標準等も参考に、測定や評価上の重要因子に着目し、基準 I :文献記載内容の網羅性,基準II:実験方法や条件の信頼度,基準III:データ相互間の整合性から構成されるガイドラインを策定しました。このガイドラインに基づき、個々のデータに対する信頼度評価を行い、その結果をデータベースに付加しました。これにより、図2-11に示すように、膨大なデータ群から信頼性の高いデータ抽出とそれに基づくパラメータ設定を、一層の効率性,追跡性及び透明性をもって行うことができ、安全評価の信頼性が一層向上すると期待されます。
 本データベースは、日英対応のWebアプリケーションによるデータベースシステムとして整備し、ホームページ(https://migrationdb.jaea.go.jp/)を通じて、国内外から誰もが利用することができます。今後、データベースの拡充・更新と核種移行パラメータ設定への適用例の提示などを継続的に行っていく計画です。