図13-28 模擬ウラン廃棄物のγ線測定試験
図13-29 等価モデル解析結果と従来法の比較
原子力関連施設の廃止等に伴って発生する放射性廃棄物は、処分場に払い出す際、放射能濃度を計測し、処分場の受け入れ基準を満たすことを確認しなければなりません。
ドラム缶等に収納されたウラン廃棄物の放射能濃度評価では、ウランから発せられるγ線のエネルギーが低いために線源となるウランの配置や廃棄物の性状(γ線の遮へいに影響を与える密度の分布など)によりγ線の計数率が大きく変わります。
つまり、廃棄物密度が不均一で線源分布も不均一の場合、線源から検出器の間の遮へい条件が一定ではないため、内包する放射能が同じでもγ線計数率が大きく変化してしまい、放射能定量評価に大きな誤差を生じる要因となっていました。
そこで、遮へい効果を定量化できる評価座標を設定することで、これらの問題に対応することができる評価モデル(等価モデル)を新たに構築しました。このモデルでは放射性物質から放出される二つのエネルギーのγ線での減衰効果の違いから、廃棄物密度の不均一性や線源分布の不均一性で生じる遮へい効果を以下の式で定量化しました。
本研究では、ウラン系廃棄物に対する等価モデルの実用性を検証しました。具体的には、模擬廃棄物を用い、様々な状態で試験を行いました(図13 - 28)。この結果、Xgeometryを計算することで遮へい効果を定量的に表すことができ、ウラン量を相対誤差20%以内で定量可能になるよう補正できるようになりました(図13 - 29)。
今後、本手法を既存の測定装置に導入し、ウラン量の定量精度を向上させる計画です。また、本研究は放射性廃棄物の定量精度を向上させる手法として、ウラン廃棄物以外にも、様々な状態の放射性廃棄物への適用が期待されます。