14-10 大深度地下における立坑掘削時の地下水対策

−瑞浪超深地層研究所におけるグラウチング技術の開発−

図14-21 「瑞浪超深地層研究所」イメージ

図14-21 「瑞浪超深地層研究所」イメージ

両立坑深度は2008年3月15日時点の掘削深度です。

 

図14-22 ボーリング横坑プレグラウチングの単位注入セメント量(水平断面図)
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図14-22 ボーリング横坑プレグラウチングの単位注入セメント量(水平断面図)

注入量が多い範囲は、ボーリング横坑先端部の岩盤に集中的に分布しています。

 

図14-23 岩盤に注入したセメントの充てん・固化状況

図14-23 岩盤に注入したセメントの充てん・固化状況

矢印(赤色)が示す暗灰色部分がセメントの充てん・固化部分です。

高レベル放射性廃棄物の地層処分の技術基盤を整備するため、岐阜県瑞浪市にある「瑞浪超深地層研究所」において深地層の科学的研究を進めています。研究は、地表からの調査研究により地下の様子を予測する段階を経て、その予測結果を確かめるため実際に坑道を掘削する段階に進んでいます。2008年3月までに主立坑深度231.2m、換気立坑200.2mまでの掘削と、深度100mと深度200mにおいて主立坑と換気立坑を連結する水平坑道の掘削を行いました(図14-21)。

立坑掘削では、地下水対策として湧水処理(水質調整)及び湧水抑制にかかわるコストを最小限に抑えることが施工上の課題となっています。地質構造や地下水状況に関する情報を得るために立坑掘削に先立ち実施したパイロットボーリング調査の結果からは、深度200m付近の換気立坑側で大量湧水が発生する可能性が高いことが分かりました。このため、立坑掘削領域周辺を対象に、掘削に先行して岩盤にセメントを注入し(プレグラウチング)、掘削時の湧水を抑制する対策を実施しました。本施工における新しい試みとして、セメント注入孔の削孔作業の効率を向上させるため、専用の削孔機械の代わりに立坑の掘削用機械(シャフトジャンボ:発破装薬孔掘削機械)を用いました。これにより、一連の立坑掘削サイクルの中でグラウチングを行えるようにしました。

深度200mでは、主立坑と換気立坑を連結する水平坑道のほかに、ボーリング調査を実施する基地となるボーリング横坑を設置しています。立坑と水平坑道の接続部分は連接部と呼んでおり、そこから水平坑道を掘削しています。この連接部とボーリング横坑の掘削領域周辺を対象としてプレグラウチングを実施しました(図14-21)。

ボーリング横坑で実施したプレグラウチングについて、図14-22にセメントを注入した孔の単位長さ当たりの注入量を示しています。この結果から、セメントの注入量が多い範囲はボーリング横坑先端部の岩盤に集中的に分布していることが確認できました。

プレグラウチング後、ボーリング横坑を掘削した時の状況は、掘削壁面から滲み出し程度の湧水はあるものの、き裂に沿った顕著な湧水は認められませんでした。特に注入量が多かった範囲では、き裂内部にセメントが充てん・固化しています(図14-23)。充てんが確認されたき裂は限定されており、かつ充てんが認められたき裂でも部分的にセメントが固化している様子が観察されていることから、この部分に注入したセメントが固化することで大部分の湧水が抑制されているものと推測できます。この注入量が多かった範囲は、掘削時にはほとんど発生しませんでした。これらの結果から得られた成果としては、削孔にシャフトジャンボを使用することにより、専用の削孔機械を使用する場合に比べ作業時間について6%程度短縮することができました。施工については、セメント注入時の最後に注入圧を保つことによって、き裂に充てんされたセメントの流出を防止できることが分かりました。今後も大量の湧水が予想される領域では、プレグラウチングを基本として実施していく予定です。


●参考文献
久慈雅栄, 原雅人, 南出賢司, 竹内真司, 見掛信一郎ほか, 大深度立坑における湧水抑制対策のためのプレグラウチング, 土木学会岩盤力学委員会第37回岩盤力学に関するシンポジウム講演集, 東京, 2008, p.251-256, in CD-ROM.