敦賀本部高速増殖炉研究開発センターは、2010年5月に「もんじゅ」の性能試験を再開し、7月に三段階の性能試験の第一段階である炉心確認試験を完了しました。その後、第二段階の40%出力プラント確認試験に向けた燃料交換を完了したあとの片付け作業において8月に炉内中継装置が原子炉容器内に落下しましたが、2011年6月24日には同装置を引き抜き、現在、引き抜いた同装置本体の分解点検の結果等に基づいて設備の健全性評価を行っています。また、2011年3月に発生した東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故等を踏まえた安全対策を実施しています。 原子炉廃止措置研究開発センター「ふげん」は、廃止措置を着実に進めています。 2010年度から、原子力機構が抱える研究課題を福井県内の企業と共同で解決を図る「技術課題解決促進事業」を開始しました。 |
●津波に対し、ナトリウム機器等の安全上重要な設備は海面から21m、また、冷却用の海水ポンプの周囲に防水壁 ●地震に対し、新指針に基づく耐震安全性評価で系統や設備の健全性を確認 ●水素爆発に対し、燃料被覆管がステンレス製なので、原子炉容器内で水素が発生しない 「もんじゅ」の安全を守るしくみ
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東海研究開発センター原子力科学研究所原子力科学研究所では、研究用原子炉(JRR-3,JRR-4,NSRR)、加速器(タンデム等)、臨界実験装置(STACY,FCA等)、核燃料物質使用施設(WASTEF,BECKY,第4研究棟等)更に放射性物質取扱施設を各研究開発部門が取り組む様々な研究開発に整備提供しています。放射性物質を非密封で安全に取り扱うための技術開発では、大型グローブボックスパネル交換における画期的な低コスト省力化を実現し、文部科学大臣から創意工夫功労者賞を受けました(トピックス12-2)。このほか、JRR- 3の冷中性子ビームの高度化や中性子利用の技術基盤となる高性能単色中性子標準照射場の完成等に取り組みました。また、研究所の保有技術等の利活用において、高度エレクトロニクス技術が企業による高精度な蛍光X線分析器の製品化に活用されました。 |
拡大図(131KB) 原子力エネルギー利用と量子ビーム利用を支える原科研の施設 |
東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所プルトニウム燃料技術開発センターでは、「簡素化ペレット法」の実用化に向け、工学規模での中空ペレット製造に関する試験やO/M比(酸素原子数と金属原子数の比)調整技術に関する試験等を実施しました(トピックス12-4)。本試験で得られた燃料を利用して「もんじゅ」の性能試験用に燃料15体を供給しました。 再処理技術開発センターでは、耐震性向上対策工事を進めるとともに、六ヶ所再処理工場運転に係る人的支援を含む技術協力を実施しました。サイクル工学試験部では、先進湿式再処理技術等の開発(トピックス12-3)を、環境技術管理部では、東海固体廃棄物廃棄体化施設の焼却設備の設計に係る安全性の検討を実施するとともに、地層処分技術の向上等に関する試験を実施しました。 |
開発中の中空ペレットの焼結体(下)(従来のペレットの焼結体(上))
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J-PARCセンター2010年度、物質・生命科学実験施設(MLF)の中性子・ミュオン生成に供する陽子ビーム強度が120 kWから200 kWに計画通り増強され、420 kW相当のビーム加速も実証しました。原子核・素粒子実験施設及びニュート リノ実験施設(NU)へのビーム強度は各々3.6 kW,145 kWに向上しました。利用関係では、MLFの実験課題応募数が昨年に比べ35%増加し、350件を受け付けました。また、NUで発生させたミュー型ニュートリノを295 km離れた岐阜県飛騨市神岡町の検出器スーパーカミオカンデで検出する実験で、電子型ニュートリノへの振動の兆候を示唆する世界初の成果が得られました。J-PARCは2011年3月11日の東日本大震災で被害を受けて運転停止中ですが、震災前には約120日(中性子発生積算時間2300時間以上)の運転を実施し、MLFに5000人・日、NUに16000人・日の外来ユーザーを受入れました。 |
MLFで中性子実験装置 BL15の建設(真空槽の搬入)BL15は「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」の下に建設した最初の共用装置です。
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大洗研究開発センターFBRサイクル実用化研究開発として、高燃焼度燃料及びマイナーアクチニド含有燃料などの照射後試験やナトリウム試験等を進めるとともに、実証炉大型機器開発と して冷却系機器開発試験施設の建設工事を継続しました。 材料試験炉(JMTR)は、再稼働に向けた改修工事として冷却設備、計測制御系統の設計・製作及び据付を完了するとともに、諸外国と照射試験の世界標準化に向けた情報交換や検討を行いました。 高速実験炉「常陽」は、試料部回収装置の設計検討とともに炉心上部機構の交換に係る装置等の詳細設計を進めました。 高温工学試験研究炉(HTTR)は、安全性実証試験として炉心流量喪失試験を行い、高温ガス炉の技術基盤の確立と実用化に必要な高温機器等の特性データを取得しました。 |
計測制御系統の据付を完了したJMTR制御室
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那珂核融合研究所那珂核融合研究所は核融合エネルギーの実用化を目指した研究開発を進めています。 現在は主に国際熱核融合実験炉(ITER)計画の国内機関としての機器開発・製作とともに、欧州と共同で実施されている「幅広いアプローチ(Broader Approach: BA)活動」として、臨界プラズマ試験装置(JT-60)をITERの支援・補完研究を行うサテライト・トカマク装置(JT-60SA)へと改修する作業を実施しています。 2010年度はJT-60の解体作業が本格化し、計測架台の移設や計測装置,加熱装置,ガス注入装置等といった本体周辺設備の解体・撤去を進めました。また、真空容器内の第一壁タイルの取り外し作業を行い、約12000枚のタイルの撤去が完了しました。 一方、JT-60SA用の機器製作も進められ、実機の磁場コイルに用いる超伝導導体の所内での製作を継続するとともに、真空容器についても試作に続いて実機の製作を開始しました。 |
拡大図(348KB) 解体作業が進むJT-60本体部分(2011年3月現在)
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高崎量子応用研究所高崎量子応用研究所では、産業への応用を目指した新機能・環境調和材料、バイオ応用技術及び量子ビーム分析の研究開発や材料 機器等の耐放射線性評価研究のため、4基のイオン加速器からなるイオン照射研究施設(TIARA)と電子・ガンマ線照射施設を原子力機構内外の利用に供しています。また、マイクロビーム、シングルイオンヒット及び大面積均一照射等のイオンビーム加速・形成及び照射技術や、三次元大気マイクロPIXE技術及び三次元精密描画加工技術などの応用技術の開発を行っています。2010年度は、数100 MeV重イオンの大面積均一照射技術開発に着手し、専用チェンバーの設計・設置を行いました。 |
拡大図(334KB)
AVFサイクロトロンLBコースに整備した大面積均一イオンビーム形成・照射のためのチェンバー
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関西光科学研究所木津地区では、高強度レーザーの品質向上などの高度化を行っています。また、関西光科学拠点ネットワーク 「融合光新創生ネットワーク」では幹事機関として高品位高輝度光源の開発を行っています。光医療研究連携センターでは、レーザー駆動粒子線加速器のための要素技術開発を行いました。 播磨地区では、大型放射光施設SPring- 8にある4本の専用ビームラインの強力なX線を利用して、物質・材料の機能発現や反応機構を解明するための最先端計測・解析技術の開発・高度化を推進し、原子力開発において重要なアクチノイド物質や水素貯蔵材料などを中心としたエネルギー・環境関連等の研究を進めています。 |
拡大図(297KB)
高強度レーザー装置(J-KAREN)
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幌延深地層研究センター幌延深地層研究センターでは、地下施設を活用して、堆積岩を対象とした「地層科学研究」及び「地層処分研究開発」を行っています。 地下施設の建設については、東立坑について深度約220 mから約250 mまで掘削を行うとともに、深度250 mの調査坑道について東立坑と換気立坑を結ぶ部分の掘削を行い、2010年6月に貫通しました。 地層科学研究については、地質環境調査の技術開発,地質環境モニタリングの技術開発,深地層における工学的技術の開発及び地質環境の長期安定性に関する研究を継続して行いました。 地層処分研究開発については、深度140 mの調査坑道において、低アルカリ性セメントの周辺岩盤や地下水に与える影響について調査しました。 また、以上の業務を効率的に進めるため、2011年1月にPFI(民間資金等の活用)を導入しました。 |
拡大図(263KB)
西立杭工事現場の状況
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東濃地科学センター高レベル放射性廃棄物を安全に処分するための地層処分技術に関する研究開発のうち、主に花崗岩を対象とした深部地質環境の調査・解析・評価技術や工学技術の研究開発、地質環境の長期安定性に関する研究を実施しています。 現在、岐阜県瑞浪市で「超深地層研究所計画」を進めており、深地層の研究施設である「瑞浪超深地層研究所」の研究坑道掘削については、2010年度は、主立坑は深度459.6 mから深度481.3 mまで、換気立坑は深度459.8 mから深度497.7 mまでの掘削を行いました(トピックス12-11)。調査・研究は、研究坑道掘削時の岩盤壁面の調査や深度300 m,深度400 mにおいて水平坑道からのボーリング調査などを行いました。 |
拡大図(288KB) 主立坑坑底の深度約480 m
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人形峠環境技術センター人形峠環境技術センターでは、ウラン濃縮施設に関する廃止措置技術開発を行っており、濃縮工学施設でウランの濃縮試験に使用した遠心分離機の湿式除染処理を実施しています。 数万台にも及ぶ遠心分離機の処理を効率良く進めていくために、電離イオン測定装置によるクリアランス検認技術開発(日本原燃株式会社),向流型エマルションフロー方式による除染廃液中のウラン回収技術開発(原子力基礎工学研究部門),気化旋回ジェット燃焼装置による有機廃液燃焼試験などを関係箇所の協力を得ながら実施しています。これらの研究成果は、遠心分離機の処理に適用しながら、他の施設,設備の廃止措置にも適用可能な技術として試験,評価していく予定です。 |
電離イオン測定の原理
α線で電離されたイオンを空気流で輸送し、イオンセンサーで測定した電流を放射能に換算する 電離イオン測定装置の概念
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青森研究開発センター六ヶ所地区では、「核融合エネルギーの実現に向けた幅広いアプローチ(BA)活動」の拠点として三つの研究施設のうち、原型炉R&D棟については2011年7月7日に文部科学省からRI使用許可を受け本格運用に向けた準備を進めています。また、計算機・遠隔実験棟については2011年度中の運用に向けてスーパーコンピュータ (仏国Bull社製)の設置準備を進めています。 むつ地区では、研究施設等廃棄物処分場の操業を見据えた大型機器一括撤去処分等合理的・経済的な解体手法における調査検討、含有する有害物の調査など原子力第1船原子炉施設の廃止措置並びに加速器質量分析装置(AMS)による極微量元素分析及び分析技術の開発を継続して行っています。 |
拡大図(247KB) 設置を進めているスーパーコンピュータ
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