1-13 将来の使用済燃料処理に向けた新抽出プロセス構築を目指して

−U,Pu共回収プロセス(コプロセッシング法)開発−

図1-34 コプロセッシング法のプロセス構成案

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図1-34 コプロセッシング法のプロセス構成案

PUREX法で設置されているU洗浄段において、溶媒を多量に供給することによってPu単離が可能となるため、コプロセシング法ではU洗浄段を廃止し(図1-34 ×部)、核拡散抵抗性を向上します。

 

図1-35 分配部におけるPu逆抽出試験の様子(供給液 Pu/U:3%)

図1-35 分配部におけるPu逆抽出試験の様子(供給液 Pu/U:3%)

 

図1-36 分配部の有機相Pu濃度分布(供給液 Pu/U:3%)

図1-36 分配部の有機相Pu濃度分布(供給液 Pu/U:3%)

Puを逆抽出でき、U,Pu溶液のPu/U比を約1として回収可能です。

現在の軽水炉サイクルから将来のFBRサイクルへの円滑な移行に係る検討が、文部科学省,経済産業省,電気事業連合会,日本電機工業会及び原子力機構の五者により行われています。五者及び学識経験者により、六ヶ所再処理工場に続く第二再処理工場に採用すべき再処理プロセスが検討され、複数の候補プロセスについて技術的成立性や柔軟性等の観点から比較検討が行われました。この結果、現行のPUREX法を改良したU-Pu共回収法(コプロセッシング法)が、第二再処理工場の最も有力な候補プロセスとして挙げられています[1]

原子力機構におけるコプロセッシング法の開発は、抽出計算コード(MIXSET-X)を用いたシミュレーションによりフローシートを設定し、小型ミキサセトラ試験でフローシートの成立性を確認することによって行っています。フローシート設定においては、試薬の種類や流量を変更しただけでは、容易にPuを単離することができないプロセスを構成し、核拡散抵抗性を向上させることを目指しています(図1-34)。また、抽出工程に求められる核分裂生成物(FP)の除染係数(DF)が1サイクル(共除染・分配サイクル)で達成できる場合、抽出工程の短縮化が可能なフローシートを目指しています(図1-34)。

小型ミキサセトラ試験は、現在、東海再処理施設小型試験施設(OTL)のグローブボックスにおいて、UとPuの分配部を対象とした試験を行っています。プロセスに供給する液は、第二再処理工場において処理すると考えられる使用済燃料(軽水炉,軽水炉-MOX,高速増殖炉)の発生量やPu含有率、各燃料の混合方法から、Pu/Uの割合として1%,3%,20%の試験を行っています。これまでの試験の結果、3%,20%ではPuを十分に逆抽出可能であり(図1-35,図1-36)、また、U,Pu溶液は高速増殖炉における燃料組成比(Pu/U:0.5〜2)を満足するスペックで回収が可能であり、フローシート成立の見通しを得ました。今後、Pu/U比を1%とした試験により、フローシートの成立性等を確認していく予定です[2]

本研究は、経済産業省からの受託研究「平成22年度高速炉再処理回収ウラン等除染技術開発」の成果です。


●参考文献
[1] 高速増殖炉サイクル実証プロセス研究会, 核燃料サイクル分野の今後の展開について【技術的論点整理 】, 平成21年度 第28回原子力委員会定例会議 資料第1-1号, 52p.
[2] 日本原子力研究開発機構, 高速炉再処理回収ウラン等除染技術開発成果報告書 平成22年度, 2011, in CD-ROM, (JAEA図書館所蔵).