4-7 サテライト・トカマク計画事業の進展

−JT-60SAの組立開始−

図4-18 クライオスタット・ベースの組立開始

図4-18 クライオスタット・ベースの組立開始

2013年3月に、日欧の政府,自治体,大学,研究所,企業の関係者が那珂研に集まり、JT-60SA 組立開始の式典が開催されました。

 

図4-19 トカマク本体機器の組立用組立架台

図4-19 トカマク本体機器の組立用組立架台

JT-60SAの組立てでは、トカマク本体機器の組立を効率良く行うために、旋回クレーンを設置した組立架台(直径20 m)を採用します。

 

図4-20 JT-60SAトカマク本体機器の主要組立シーケンス

拡大図(216KB)

図4-20 JT-60SAトカマク本体機器の主要組立シーケンス

日欧共同事業であるJT-60SAは、2013年1月、欧州製作のクライオスタット・ベースの組立を開始しました。今後6年間の組立期間を経て、2019年3月にファーストプラズマ着火を目指します。

サテライト・トカマク(JT-60SA)計画では、2019年3月のファーストプラズマ着火に向けて各機器の設計・製作等の建設活動が日欧共同で進められています。原子力機構那珂核融合研究所(那珂研)にあるJT-60本体の解体は2012年10月に予定通り完了しました。2013年1月には、欧州から最初の搬入機器であるクライオスタット・ベース(直径12 m,重さ280 t)の据え付け作業を開始し、JT-60SA本体の組立てを開始しました。クライオスタットは、4Kに冷却される超伝導コイルのための真空断熱容器で、クライオスタット・ベースは、クライオスタット本体だけでなく真空容器などのトカマク機器も設置する極めて重要な基礎構造体です。2013年3月に、クライオスタット・ベースは誤差わずか±0.5 mmという極めて高い精度で、設置が完了しました (図4-18)。真空容器や超伝導トロイダル磁場コイルは、組立てが完了したクライオスタット・ベースの上に1個ずつ円周方向に組み立てられるため、専属の旋回クレーンや位置合わせ用ガイドレールを備えた組立架台(直径20 m,高さ18 m)を用いて、機器の効率的な移動と高精度な位置合わせを行います (図4-19)。真空容器は10セクターから構成され、最終20度セクターを除いた9セクター間の溶接を研究開発により実証された溶接条件を用いて行い、真空容器を340度まで組み立てます (図4-20(c))。その後、20度の開口部から超伝導トロイダル磁場コイルを1個ずつ真空容器周りに移動し、製作時に定義された各トロイダル磁場コイルの電流中心の位置が数mm以内の誤差に収まるように、レーザー光を用いた位置計測機器とコイルの位置と姿勢を微調整することができる位置調整治具を用いてトロイダル磁場コイルの組立てを行います(図4-20(d))。

我が国が製作分担する真空容器は既に全体の2/3までの製作が終了しております。また、欧州が製作分担するトロイダル磁場コイルについては、フランスとイタリアで製作が開始され、真空容器の340度組立以降のトロイダル磁場コイルの組立てに向けて順調に進展しています。