図2-19 解析領域(左)と有限要素解析メッシュ(右)
図2-20 地下水流動解析、塩分の移流分散解析から得られた塩分濃度分布(左)
と電磁比抵抗探査より得られた地盤比抵抗分布(右)
実際の地質環境を対象として、地下深部の地下水の流れを推定するためには、現地調査などにより得られた情報に基づいて対象地域の透水係数(地下水の流れ易さを表す指標)分布を推定し、適切な初期条件・境界条件のもと地下水流動解析を実施する必要があります。得られた解析結果の妥当性を評価する一つの方法として水圧の観測値と解析で得られた計算値との対比が一般的ですが、幌延地域のような水圧分布のコントラストが小さい地域ではその有効性が十分とは言えない場合があります。
幌延地域では堆積時に海水が閉じ込められたものと考えられる塩分を多く含んだ地下水が広く分布しています。そこで、推定した透水係数分布に基づき、降水の浸入を考慮した塩分を多く含んだ地下水の洗い出し解析(塩分の移流分散解析)を行い、解析結果と地下水の塩分濃度(実測値)との対比や、幌延地域における大局的な塩分濃度分布を反映していると考えられる比抵抗分布との対比を試み、地下水流動解析の妥当性を評価しました。
地下水流動が地下水の塩分濃度分布に大きな影響を与えるような地質環境において、塩分濃度に着目した上記のような手法は透水係数分布及び地下水流動解析結果の妥当性を評価する上で有効であることがわかってきました。