核融合エネルギーの実用化に向けて、国際熱核融合実験炉(ITER)計画、幅広いアプローチ(Broader Approach: BA)活動等の国際協力を積極的に推進しつつ、那珂核融合研究所では主に核融合プラズマ研究、六ヶ所核融合研究所では原型炉のための技術基盤の構築を目指した研究開発(核融合フロンティア研究)を総合的に進め、原型炉の実現(図9-1)を目指しています。
ITER計画
ITER計画は、実験炉の建設・運転を通じて核融合エネルギーの科学的・技術的実現可能性を実証する国際協力プロジェクトです。2007年10月にITER協定が発効し、原子力機構は我が国の国内機関に指定されました。現在、我が国が分担する機器の調達活動を進め、種々の技術開発成果(トピックス9-1,9-2)を挙げるとともに、ほかのITER参加極に先駆けて超伝導コイルの実機製作に着手しました。
BA活動
BA活動は、核融合の早期実現を目指し、ITERの支援やITERの次のステップである原型炉の開発のための研究開発を行う日欧の共同事業です。2007年6月にBA協定が発効し、原子力機構は我が国の実施機関に指定されました。BA活動は、国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)事業,国際核融合材料照射施設の工学実証・工学設計(IFMIF/EVEDA)事業,サテライト・トカマク計画(STP)事業の三つのプロジェクトから構成されます。トピックス9-3はIFERCの原型炉R&D活動で得られた成果です。また、トピックス9-4は、IFMIF/EVEDAにおいて得られた成果です。STPにおいては、JT-60SAの日欧共同建設が順調に進展しています(トピックス9-5,9-6)。トピックス9-7もJT-60SAに資する成果です。
核融合プラズマ研究
JT-60の実験データ解析を更に進めるとともに国際装置間比較実験等を行い、高いプラズマ圧力を実現して核融合炉の経済性を高めるための研究を続けています。トピックス9-8は、高プラズマ圧力の形成を妨げる不安定性を克服するための指針を示唆する成果です。
核融合フロンティア研究
原型炉のための技術基盤の構築に向けて、種々の研究開発を実施しています。トピックス9-9はIFERCの高性能計算機を使用した理論シミュレーション研究であり、核融合炉の安全な運転停止シナリオの確立を目指した成果です。トピックス9-10,9-11は増殖ブランケットの開発に不可欠の成果です。